ずいぶんと遠くへ来てしまった
九州に向かうと、必ず兵庫を過ぎたあたりで頭にうっすらとした後悔が芽生える。
なぜ、クルマで九州に行こうとしたのか?
格安飛行機なら時期によっては往復でも1万円で九州への上陸は可能らしい。
確かに高速を使わなければ、プジョー「3008」の燃費ならば九州往復1万円は可能かもしれないが、それでも今回はサウナに入った時間と休憩時間を除いても30時間くらいは熊本まで掛かった。
そこまでして行きたかった場所・・・それが「湯らっくす」だ。
「サ道」を見て自分もMADMAXボタンを押したことがある側に立ちたくなった。
そもそもサウナを語る上で散々「湯らっくす」を引き合いにだしたのに、2月に多くのクルマを試乗して「こいつじゃ湯らっくすには行けないな」なんて偉そうに講釈たれたくせに、当の自分は行ったことがないのだ、「湯らっくす」に。
そんなアホな話があるか。
じゃあ行こう!
1,300kmを走ってまで押したいボタンがそこにある。
西の聖地へ
九州のサウナはとにかくリーズナブルだ。
「湯らっくす」ほどの潤沢なサウナを持つスーパー銭湯が590円から楽しめる。
3時間コースにしたって税込み980円だ、ありえない!!
「サ道」でも湯らっくすが近所にあったら毎日通っちゃう的なセリフがあったと思うが、本当にそれ。こんな格安でかつしっかりとしたサウナが用意されていたら毎日でも通いたくなるだろうなというクオリティ。
通常タオルと湯らっくすオリジナルタオルを購入した。
聖地ではしっかり37番鍵を取った。
朝の5時過ぎだというのに駐車場は9割くらいは埋まってて、かつ続々と車が入ってくるような施設に驚きを隠せない。
みんな「MADMAX」しにきているのか・・・。
とにもかくにもこの到着したときのワクワク感と達成感は言葉にはうまくできない。
最高のサウナを体験せよ
いまやインターネットやIT技術の進歩でVRや単純な映像で「体感」はできる便利な時代ではあるけれど、やはり肌で感じて体験するのでは大きく違う。
わざわざ30時間以上をかけて自走で来た湯らっくすの浴室、その扉を開けた先にドーンと現れた水風呂を見てテンションが上がらないわけがない。
早く・・・早くMADMAXしたい。
はやる気持ちを抑えて神戸から実に十数時間ぶりの風呂なのでしっかりと汗を流し、湯船につかる。
サウナが先頭にくるくらいにサウナ推しではあるが、お風呂もいい、これは忘れちゃいけない。
まずはどのサウナで行くかというところで大噴火瞑想サウナとメディテーションは湯らっくすの神髄だと思うので最後に回し、定番どころのアウフグースサウナから愉しむ。
「アウフグースサウナ」と書いておきながら、早朝5時はアウフグースをやっていないので純粋な95℃のサウナを愉しむ。
疲れは多少あるらしい、6分ほどで身体が悲鳴をあげはじめる。
まだだ、まだ耐えるんだ。
ぎりぎりまで粘り、そこに水風呂に飛び込んだ方が気持ちいいぞ。
見えない誰かがそんなことを耳元でささやいている(気がした)。
10分・・・だめだ、
「いいや!限界だ、押すね!」
サウナ室で走るような真似はしないが、一番奥に座ってしまったので足早に外に出て、真正面にある水風呂への階段を上る。
幸いにしてMADMAXエリアには誰もいない!
何人ものサウナーがその命を救われた「蜘蛛の糸」に捕まり、いよいよこの瞬間が!!
押した側の人間に!なる!!
うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお・・・・・
ぱっと手を放し、自分の身長だとぎりぎり頭まで沈むその水風呂に潜る。
ここに楽園はあったのか・・・。
「しきじ」とは違う水風呂体験。
メカチューンのハチロクもいいけど、スーチャーのハチロクもいいよ?
そういう感じ。
よくわからない。
メディテーションサウナにハマる
好きなサウナはどんなサウナですか?そう聞かれたらぼくは「静かなサウナ」と答えるだろう。
もちろんTVがあるサウナも人でガヤガヤしているサウナも、そういうものだし、アミューズメントとして純粋に楽しむ姿勢はあるので嫌いではないけれど、そもそもサウナ外でもうるさい環境や人が多い環境は好きじゃない。
だからクルマの中が好きだ。
公共交通機関に乗っていて子供の声がうるさいだとか、匂いが気になるだとか、そういう文句を言うのなら最初から乗りなさんなね?とさえ思う。文句を言いたくないから自分は自家用車で移動する。前にも書いた通り、日本なんて指宿から稚内まででもたったの3,000km未満だ、移動しようと思えば低く見積もっても6割くらいは公共交通機関を使わなくてもいけるはずで、だからひとりになれるプジョーで今回も熊本まで訪れた。
「メディテーションサウナ」
このネーミングでパッとこのサウナをイメージはできなかった。
要はセルフロウリュできるTVもないサウナだ。
時間帯もあるのかもしれないが、人はアウフグースサウナに流れメディテーションサウナには自分しかいない。
実ははじめてのセルフロウリュだ。
湯気と室内の暗さで眼鏡が見えず柄杓の裏表すらよくわからないかったけど、はじめてのセルフロウリュ・・・じゅうっという水の蒸発する音を聞きながら一気に温度をあげる室内で「おお」と思わず声を上げるような熱体験ができた。
2回、3回はロウリュを行いぎりぎりまで身体を追い込む。
このあとには最高のMADMAXが待っている。
そして潤沢に用意されるととのいスペース、露天スペースにある椅子が空いたらそちらで熊本の雨を受けながらぼーっとする。
ととのわないわけがないじゃない(ぷしゅー
1,300km走ってまでくる価値があった(´;ω;`)
見せてやる、サウナの凄さじゃなくMADMAXの凄さを
サウナも十分に凄いんだ、ただやっぱり主役は水風呂だ。
MADMAXボタンを押す、言ってしまえばそれだけのために会社帰りに熊本まで行った。
一見すればバカな行為に思うけど、週末フィンランドという言葉があるように会社帰りにフィンランドまでサウナに行くような行為があるならば同じように週末湯らっくすという言葉があってもいい。
つまり会社帰りにちょっとMADMAXできるってことだ。
3種類のサウナと極上の水風呂、西の聖地は偉大なり。
気になるところは「しきじ」と「湯らっくす」どっちの水風呂が凄いのか?
つい30時間ほど前に「しきじ」を味わった身体に「神戸クアハウス」と「湯らっくす」の極上水風呂巡りをしてきてどうだったのか?
結論からすれば「どれもいい」という大人の回答ぽく聞こえるけど実際そうなのだ。
好き嫌いというか、そもそも静岡・兵庫・熊本で水の成分が同じわけないんだからその違いを純粋に受け入れ、愉しめばいいというのが率直な感想。
サウナはぼくにとっては最早娯楽の一種だと思わせてくれたのがこの湯らっくすだった。
また行きたい、あの水風呂におぼれたい(文字通り、泳げないので溺れる)。
これで会社でサウナ部を設立しても湯らっくすにも行ったことがないのに日本のサウナを語るなボケと言われずに済む。
ありがとう熊本、ありがとう湯らっくす!