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イタイタしい生活を送ってます。

内燃機関に未来はあるのか~SKYACTIV-Xを試そう~

MAZDA3 SKYACTIV-X

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マツダ本体の方とお仕事でお会いする機会があり、当然こちらもクルマが好きなのでちょいっとそんな話になったときにそういえばSKYACTIV-Xが出ていたなぁと急に気になった。

ニューモデル速報 第585弾 マツダ MAZDA3のすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)

ニューモデル速報 第585弾 マツダ MAZDA3のすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 三栄書房
  • 発売日: 2019/07/16
  • メディア: ムック
 

MAZDA3自体もなかなかいいクルマだとは思う。

 

エクステリアは好みじゃないけど、インテリアはハイグレードであれば、現存する国産で同クラスなら間違いなく最強!な仕上がりだしぜひとも40代になったら乗りたいクルマof the yearだと思ってる。

 

MAZDA3に日本いやいや世界ではじめて搭載された新技術満載のSKYACTIV-X、ほんの短時間だけど乗ることができた。

結論:国内ではまだ魅力が伝わりづらい

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いきなりで申し訳ないけれど、SKYACTIV-Xの凄さがピンとこない(爆死

 

いやちょっと待ってマツダファンのみんな、赤ヘルとか投げないで(´;ω;`)ブワッ

 

ストレートに貶しているわけではなく、ある意味で凄いという意味で凄さがピンとこない。

 

1000馬力のGT-Rでフル加速を堪能すればだれもが凄いと感じるだろうけど、そういうものがなくあまりに普通で拍子抜けしてしまうほどに自然なんだよこれ。
www.mazda.com

プロジェクトXが20年後にやるなら間違いなく登場する技術

ガソリンとディーゼルのいいところを兼ね備えている、それはよくわかる。

 

2Lエンジンながら2.3L並のトルクを出しており、低回転ではディーゼルのようにトルクフルでよく粘る特性ながら、高回転までスムーズに回転が上がっていくところは確かにガソリンとディーゼルのよいとこどりと言われればそうで凄い不思議な感覚。

 

だけど、一般道でMAZDA3のようなクルマを高回転まで回すことは少なくとも自分はしない。というか一般道ではエコランしたいの、そうなると低速トルクが厚い!というところにばかり目が行ってしまう。

 

するとディーゼルでよくね?と思ってしまうのがストレートな感想。

 

エンジンとしてはかなりいい、これは間違いない。

 

MAZDA3というクルマのキャラにもSKYACTIV-Xはベストだと思う。

 

ハードに攻めるクルマには鼻先が重くなるXはいまいちな気がするけど、全体的なバランスはガソリン車よりも重厚でなかなか悪くない。そこをよくできたSKYACTIV-Xがジェントルにクルマを走らせる、雰囲気で言えばこのクルマはディーゼルよりもガソリンでかつSKYACTIV-Xがぴったりな気もする。

 

ただ、これがいま現時点で爆発的に売れるイメージがまるでない。

 

それは以下のような理由から。

 

・ハイオク仕様(推奨とあるがほぼ仕様だ)

・べらぼうに高い車体価格

・優遇税制なし

 

うーん。。。 

 

大人の事情?

Motor Fan illustrated Vol.159

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  • 作者:三栄
  • 出版社/メーカー: 三栄
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: Kindle版
 

夢のエンジン登場の背景には米国におけるCAFE(企業別平均燃費)のクリアや欧州におけるRDE(Real Driving Emission)への対応などが割と関係しているはず。

 

SKYACTIV-Dを搭載したCX-5は日本で爆発的に売れた。

マツダ 心を燃やす逆転の経営

マツダ 心を燃やす逆転の経営

  • 作者:山中 浩之
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2019/04/27
  • メディア: 単行本
 

2010年代頭、欧州では爆発的に売れていたディーゼルだけど、日本では全然売れず本によれば当初のCX-5の年間売り上げ目標は1200台だったそうだけど蓋を開ければ発表後1か月での受注台数は8000台でうちディーゼルが70%以上を占めたらしい。

 

その後もご覧の通り、今や休日のイオン駐車場にはCX-5やCX-8があふれている。

 

一時は存続すら危惧されたマツダ回復の立役者は間違いなくCX-5とSKYACTIV-Dだった。

 

そんなディーゼルブームは日本ではまだしばらくは続くように思う。

 

けれども諸外国では日本とは逆でディーゼルは下火になってきてしまっている。

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https://www.mazda.co.uk/cars/all-new-mazda3-hatchback/

MAZDA UKのサイトでMAZDA3を見るとエンジンはガソリンしか載っていない。

 

輸入車がバンバン日本でディーゼルモデルをラインナップするのは自国で売れないからディーゼル人気の日本で売ってやれ説も聞こえてくるくらいに、今や輸入車ディーゼルはかなり熱い。

 

なぜ諸外国ではディーゼルが下火なのか?

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燃料コストのメリットが少ない。

海外では日本と違いガソリンと軽油の価格差がほとんどないか、逆に軽油の方が燃料コストが高い。おまけに車体価格もディーゼルの方が割高になるのだから、誰もそんなクルマは買おうとは思わないだろう。

 

MAZDA3のUKモデルにもディーゼルがあるらしいがサイトでは見当たらない。

response.jp

自慢のSKYACTIV-Dも諸外国の大人の事情を前にしては日本ほどにメリットがない。

 

イギリスで感じたのはディーゼル車よりもプリウスやアウトランダーPHEVなどの和製ハイブリッドカーが多いこと、それは普通のガソリンで動く高燃費かつ環境負荷が小さいエコなクルマだからに他ならないね。

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プリウスやアウトランダーPHEVが売れる理由もよくわかる。売りたいのだメーカーは。

自前のハイブリッドを持たず、散々に内燃機関にもやれることがあり、燃焼効率30%アップを掲げていたマツダとしては内燃機関でエコにチャレンジするしかない。

 

結果にSKYACTIV-Xは登場したんだろうね。

 

そんな夢の内燃機関は欧州で下火になったディーゼルのよさと、ガソリンのメリットを兼ね備えている。だから海外で乗るには最高のエンジンだと思う。

 

しかし、日本では逆なんだ。。

 

海外では低コストなガソリンは、日本ではオクタン価の違いにより高コストなハイオクになる。ディーゼルと比べればどれだけ割高な燃料なのかは書くまでもないけれど、わざわざハイオクを入れてまで乗りたいか?と言われると微妙な感じがする。

 

数値でみるSKYACTIV-Xは? f:id:kumawo0017:20191229095657p:plain

https://www.mazda.co.jp/globalassets/assets/cars/mazda3/common/pdf/mazda3_specification_201911.pdf 

日本国内モデルで比較するとXの2WD6MTモデルで16インチ装着車のカタログ燃費は17.8km/Lとなっているけれど15Sの6MT車もカタログ上は同じ17.8km/Lとなっている。

 

リアルワールドにおける燃費でどちらがいいか?と言われれば低速からトルクが出ているXのほうが燃費を出しやすい傾向はあると思うし、巡航時の燃費も技術的にはXのほうが出せるはずなんだけど、公表される数値だけを見ると唸るほど高燃費でもない。

 

環境性能を見ても15SとXの差はほとんどなく取り立てて環境性能が高いわけでもないように感じるし、イマイチピンとこない。

 

車体価格は廉価グレード同士の比較で15Sは222万円でXは319万円と100万円近い差があり、同じ2000ccガソリンエンジンとの比較でもおよそ60万円ほどXのほうが高くなる。

 

欧州モデルは通常ガソリンとXとの間の価格差は日本ほどではなくざっくり計算するとおよそ35万円弱(£1=143円計算)くらいだった。

www.autocar.co.uk

価格差が小さいことは欧州が優遇されているのではなく通常ガソリンモデルにもM HYBRIDがデフォで搭載されているからで、日本モデルの通常ガソリンモデルにはそれが搭載されていないから。純粋にM HYBRIDとXが搭載された価格UPということかな。

 

価格はさておいて欧州モデルを見ると通常ガソリンモデルにもM HYBRIDを搭載しているのでいかに規制対応に力を入れているかという話。

 

なんにせ純粋な価格を見たときに日本ではコストメリットは全然ない。

 

ディーゼルと比較すると更に顕著になる。

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ディーゼルでは各種減税・免税が適用されるがXにはそれがない。車体価格もディーゼルより高く、購入時には税金の優遇もないから更に差は開く。

 

カタログ上の燃費も燃料費もディーゼルのほうがずっと安いので宗教上の理由でディーゼルに乗れない人を除けば長距離ランナーには未だSKYACTIV-Dのほうがメリットが大きいだろうし、短距離しか乗らないのであれば15Sなど通常のレギュラーガソリンモデルのほうが日本では敷居が低くお求めやすくていい。

 

将来性に投資できるのならXはかなり魅力的

青島文化教材社 1/5 エンジン No.02 ロータリースピリット MSP2 メッキ仕様
 

かつてのロータリーエンジンを彷彿とさせる。

 

bestcarweb.jp

消費者置き去りというか、そもそも日本のためのエンジンではないと思うんだ。。。

 

書いてきたように、SKYACTIV-Xのすべての利点は海外で売るためのガソリンエンジンとしてみれば物凄くメリットも魅力もあるから間違いなく売れるだろうなぁと思える。

 

ただ逆に日本では軽油の方が安いし、ディーゼルらしさが欲しいなら今は車体価格も安いしディーゼルを買えばいいって話なのであえて選ぶメリットもなく、どちらかといえば将来への投資・・・未来のマツダへの投資といった意味合いの方が強くなる。

 

もちろんこの技術が今後も量産され続けよりよいものへと向かって行けば各社も当たり前にSKYACTIV-Xに追従する内燃機関を開発し、かつての直噴エンジンのように当時は難ありだったけど数十年後には当たり前に使われる技術となることを願ってやまない。

 

ハイオク仕様に難があるとは書いたものの、これを日本車だと思わずフォルクスワーゲンのゴルフやメルセデスのAクラスのガソリンモデルだと思えば安心の国産で格安で手にはいるクルマとしては魅力的なんじゃないかな??

オンリーメルセデス 2020年2月号

オンリーメルセデス 2020年2月号

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 交通タイムス社
  • 発売日: 2019/12/27
  • メディア: 雑誌
 

ドイツ車が嫌いなので自分ならMAZDA3を買うよ。

 

視点を変えればハイオクも気にならない、新技術の今までにないエンジンをこみこみでも400万円以内で手に入れられる・・・そう考えると割安に思える不思議。

 

不安がないと言えば嘘になる

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革新的技術にはエラーがつきもので、SKYACTIV-XもECUでかなり複雑な制御を行っているはずなんで、エンジン単体での技術よりもむしろ公道における予測不可能な状況でもエンジンが壊れないマネージメントをすることのほうが難しいと思う。。。

 

欧州モデルでは高圧縮の16.3を実現したエンジンも日本では15まで落としているのは、海外と違い低オクタン価のガソリンが流通している日本のユーザーはレギュラーガソリンを使う人もいるかもしれないし、日本の道路事情におけるマージン確保のためである気がする。。。

 

でなければあえて魅力的な16もある圧縮比を落とす意味もない。

 

なんで日本の会社のクルマなのに日本でスペックダウンされるんだよ(´;ω;`)ブワッ

 

バイクにおける国内モデルと北米モデルみたいなものかな・・・。

 

パワーもトルクもまだまだ増やせると見たことがあるのでエラーを潰しながら徐々にそのあたりは本領発揮と行くのかもしれない。その発展途上なエンジンを一緒に育てられる人にはいいけれど、どんなトラブルが起きるか想定できないことも怖い。

 

SKYACTIV-XにはディーゼルにおけるDPFのようなGPFが搭載される。

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GPF自体は今後のトレンドになるかもしれない高圧縮エンジンの宿命である煤を捉えるために必要な装備であるし、ディーゼルよりもガソリンのほうが燃焼温度が高いのでDPF並の再生はないとは書かれているけれど、それもどう転ぶかわからない。

 

単純に母数が多いので見かける率が高いだけなんだろうけど、SKYACTIV-DではDPF再生距離をいかに伸ばすかを競う風があるのでそうならないといいですねという話。こんな質問が公式サイトに載るあたり気にしている人もいるだろうねと思う。

 

リアルワールドでは想定外のシチュエーションが多々発生するもので、特に欧州よりもえぐい真夏の都市部の渋滞などが起きた場合、どのような状態になるのかはなにげに不安。メーカーもテストはするだろうけど、ユーザーはその想定を遥かに超える使い方をするもので、そこが怖い。

 

技術者なんかやっていると日常的に壊れたという話をあらゆる製品で耳にするけど、直しにいくとなんでそんな使い方したし・・・ってものが多々ある。

 

M HYBRIDやスーパーチャージャーなどを搭載し機構も制御も複雑であるということはそれなりに壊れる箇所も増えるということだし、その統合制御も難しいはずで予期せぬエラーは隠れやすい。

 

なんにせ新しい技術にはトラブルはつきものなのであたたかく見守る他ないし、メーカーは発生したエラーをひとつひとつ丁寧に潰してよりよい製品に仕立てていくだろうからそれは温かく見守りたいところ。

 

それにしてもMAZDA3いいよねぇ・・・長距離ランしてみたいや。

MAZDA FANBOOK (マツダファンブック) Vol.011 [雑誌]

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