日本のPHEVといえばアウトランダーPHEVなわけですが。
ドイツVWにもゴルフGTEというPHEVが出てました。
このアウトランダーの三菱とゴルフのVW。
両社に共通するところはPHEVだけではなくいろいろ問題起こして世間に叩かれてる(いた)ところ?(ぉ
とはいえVWのディーゼル不正があったところで、ディーゼル車なんて買わないと思うので興味が無い。どのみち排ガスなんてマフラー変えるし、ECUチューニングすればあんま関係ない。チューニング前提の自分にとって致命的ではない問題は割りとどうでもいいです。環境のことを気づかえる人なのであればそもそも最初から自動車もバイクも運転しないで、家に引きこもるか、己の二酸化炭素排出量を気にして首吊ると思います。
VWは今まであんまり興味がなかったんですが、GTEがちょっと気になったので見に行ってきました。
❚使い勝手のいいゴルフでPHEVの価値
VWのゴルフは輸入車の中でもかなり出来がよいハッチバック車で、5年位まえに乗ったことがありますが「こりゃ売れるわ」と感動した覚えがある。
あのサイズ感はなかなか絶妙で日本の道路でも特段取り回しに苦労しないわけです。
アウトランダーPHEVもSUVながら小柄で取り回しはよかったですが、
全高はアウトランダーが1710mmであるのに対しゴルフは1480mmなので当然立体駐車場で苦労することは皆無でしょう。幅はゴルフも1800mmだけど、それくらいの幅はいまの国産車でも”ちょっと大きい”レベルになってきているわけでね…
全長もゴルフのほうが430mmも短いので、そういう意味で巨大なSUVを求めない層にゴルフGTEはベストマッチすると思いますね。
アウトランダーはPHEVにさらに付加価値をつけるためにガソリン車とは差別化した高級感を出していましたが、ゴルフはそもそも素のゴルフの時点で十分プレミアム感が出てます。別にドイツ車信者じゃないし、むしろそういうドイツ車の出来のよさが嫌いな天の邪鬼な自分ですが、ドイツ車が他国のブランドに比べて出来がいいってのはやっぱ否定できないところもあると思う。
後部座席にもちゃんとアームレストがある!!
ドアハンドルもある!!正直これは羨ましい。
グローブボックスだってそこそこ容量あるし
ちゃんと使えるドリンクホルダーもある。
※写真の一部はゴルフR
シートに収まりポジションを合わせると何の違和感もないそのドライバーの収まりっぷりに感動するわけで、正直GTEではなくって素のゴルフでも十分いいや!って気になるのが凄い。やっぱ売れるクルマには売れるなりの理由がある。
ベンチマークにされることはあっても、真っ向勝負できるクルマがあまり思い浮かばず、しいて言えばあまりにデキが良すぎる優等生っぷりが嫌いだから…という理由で選ばないくらいしか思い浮かばない。
特に強烈な個性が必要とか、そういう人ではなくって輸入車ははじめてだけどどこ買ったらいい?と聞かれたら自分ならVWをおすすめするし、多分ゴルフを推す。
❚ゴルフGTEとゴルフGTIを較べて試乗。
試乗する前に受けた説明の時点で、GTEはぼくでは買えないことを前置きする。
それは価格が500万円超えるとか、そういう話ではなくPHEVであることのメリットをあまり受けられない、充電の問題があるからです。
ゴルフGTEはCHAdeMOに対応しておらず、そのへんで急速充電することができないそうです。
日立の規格だかの充電器で数時間の充電が必要とのことで、アウトランダーの急速充電に30分すらインフラが発達しきれたとはいえない現状ではきつい。
純電気自動車が順番待ちをする中でPHEVの存在は疎まれる辛さもある。
GTEは疎まれる前に外出先での充電は絶望的だし、自分のようなマンション暮らしの場合、その敷地駐車場に充電設備がなければきつい。
アウトランダーPHEVがよいなと思ったのは自宅で充電できなくとも、近所の日産や三菱のディーラーに行けばとりあえ30分は充電できるところだった。自宅に充電設備はなくても、ディーラーを利用して急速充電できれば面倒ではあるけれどそこまで充電で頭を痛めることもなく、PHEVの恩恵も受けやすい。
そもそもVWを買うような人は充電設備があるハイソなマンションに住むものだし、一軒家だからそんなインフラ問題でいちいち悩まない人が多いのかもしれない…住む世界が違うのかorz...
そんな充電問題や価格の高さもあり、伺ったお店ではほとんど興味も持たれないそうでGTEの試乗希望なんか全然ないそうだ。
GTEは駐車場の奥に追いやられていて絶望的に汚れた状態で出てきた…
500万円する高級ゴルフのはずなのに酷い扱いすぎるw
PHEVなので走りながら充電すりゃいいんだろうけど、それではPHEVのメリットは半分以上減る。ただのちょっと燃費がいいゴルフ程度の価値しかなくそれであれば普通にプラスの金額を払ってゴルフRというめがっさ速いクルマに行くか100万円安くGTIという2Lターボのグレードが手に入るのでそちらを狙うのも面白いのでは?
GTEの実燃費を聞いたり充電問題を考えその上で定価499万円という数字を見る。
アウトランダーに合わせて本皮シートを付けた見積もりはざっくり570万円www
輸入車でもこれだけの金額を払えば他に選択肢はいくらでも広がるよね…。
そういうインフラ的な事情で買えないことも前提でいるとセールス氏に「GTEとGTIを乗り比べて見てください、絶対GTIがいいってなるはずなんで」と言われる。GTEを見に来た人にGTIを勧めるあたり素敵。
まずはGTEのEVモードで。
力強さでいえばツインモータのアウトランダーのほうが上な感じ重量差は300kgほどあって、ゴルフの方が軽いので速度の乗りはもしかするとゴルフの方が上なのかもしれないけど、あくまで体感という意味ではそこまで力強さを感じなかった。
三菱の営業が言っていたように「ランエボオーナも満足させる力強さ」というのはアウトランダー単体だと「ふーん?」だったけれどGTEに乗ると確かにアウトランダーの方がパワー感はあったと思えるから不思議。
ロードノイズが結構入ってきて、アウトランダーで感じた”電車”という感じがゴルフではそこまで感じられなかったかなぁ…
ただある程度のノイズは運転を楽しむ上でのスパイスみたいなもので、なければないで味気ないもの。
遮音性の高いクルマが自分はあまり落ち着けないのだけど、走っている!という感じがしないのが苦手なのかもしれない。
そんな遮音などに関しては素のゴルフと大きく変わらないのかもしれない。
ボディサイズにゆとりがあるアウトランダーでは遮音を十分にとれるだろうけど、元々コンパクトな部類に入るゴルフにそれを求めるのは酷だ。静かすぎるがゆえに変な音が耳につくというのもEV特有の話。
ハイブリッドモードとGTEモードに切り替えるとGTEのよさがすごくわかりました。
電気モータとエンジンの出力を合わせて200馬力オーバになるGTEモードでは6速DSGで手動変速が結構遊べました。
アウトランダーのパドルシフトは回生ブレーキの調整のみで、あくまでブレーキのためのもの。B0で空走させて燃費を稼ごうぜ!とかそういう独特の乗り方をするものであって、ギアチェンジを楽しむものではなかったね。
ゴルフもEVモードでは回生ブレーキだけど、GTEモードで走れば6段のギアを変速させるスポーティな走りが楽しめる。燃費のためのモータは電動ターボ的にパワーのためにも使われる。
1.5tを超える車体に200馬力がそこまでパワフルか?と言われればNOではあるけれど、低速トルクが厚いモータを使うおかげで抜群に走り出しが軽い。上はエンジンのパワーがでるから、内燃機関の苦手分野を巧く補って上品に加速する。
過激な加速がほしいならゴルフRをどうぞ、GTEはキャラクター的にも上品な加速をする大人のクルマを狙っているのかもしれない。そういう意味ではGTI・GTE・Rと1台のクルマで巧くターゲットを変えているのが凄い。VWのように売れるメーカならではの豊富なラインナップだと感じました。
GTEの価値はGTIと同じようにDSGで変速を楽しめることで、自動車であることを忘れていないところに尽きるけれど、タコメータが全然見えないw
左のでかいメータはタコだと思っていたらモータのパワーの出方を示しているだけで実際のタコメータは左メータの下にある小さな円盤メータだった。
水温計かそれ系統のメータだと思っていたらこの小ささでタコメータ!?
読めんわ、こんなもん…
6MTを持たないDSG専用車だからこそできたタコメータだね。
こんなタコメータでMTで操ったらオーバーレブさせる自信がある。
GTEとGTIの差は乗れば一目瞭然なんだけど、乗り始めて気づくのはブレーキの効き具合。
GTIは初期制動が結構ガツンと来るんだけどFIAT 500Xやレネゲードみたいにカックンブレーキにはなりづらくちゃんとコントロールできる幅があるのに対し、GTEはなんというかスポンジーっていうのか曖昧なブレーキフィーリング。
これは多分GTEがPHEVなので特にEV走行しているときはブレーキフィーリングが悪くなることもあると思う。それでも慣れれば普通に扱えるし、止まるには何も問題がないので好みの問題。
それこそレネゲードのFWDで感じた渋滞にハマると辛いだろうなこれ…と思う効きのブレーキに比べたら全然まとも。
ブレーキだけじゃなく乗りやすさはDSGの洗練ぶりにもある。
クリープがないので違和感はあるだろうけどそもそもDSGってそういうものなのでオーソドックスなトルコンATに慣れた人には辛いかもしれない。それでも低速でのマナーもいいし、さすがはVWだなぁと思う。
1速から2速の変速ショックが大きいことは気になるけれど、それでもこれより衝撃があるATもあるので気にしない。変速ショックよりも低速で何がしたいのか迷い始めるようなツインクラッチよりは全然いい。
マニュアルシフトしたいときに+/ーが前後逆でなのが気になった。
最近はマツダはじめ、手前に引けば+、前方に押せばーのパターンが増えており、普通に走っていても加速で身体がシートに押し付けられるシフトアップは手前、減速で身体が前に出るのだから奥に押すパターンのほうがやりやすいはず。基本はパドルシフトを使えということなのかもしれないけれど、MTに乗っていると片手でステアリングを操作しながらシフトチェンジは当然なので、特に減速しようとするとステアリングから左手を離す癖があるのでパドルシフトだと一瞬迷う。オーソドックスに左手でシフトレバーをいじるのが好きだなぁ…
とにかくゴルフはよくできたハッチバックで実用性、家族で乗ってもなにも不満がでないだろう快適性、それでいて一人で運転している分には最高にファンなクルマだと思った。
先日会った人がクルマを乗り換えるときに散々悩んでVWのディーラーに行ったらゴルフに惚れて即決したと言っていたけどそれも頷ける。
自分はもはや信仰上の理由にちかいそれでドイツ車は買わないと決めているけれど、そういう縛りがなければドイツ車をあえて選ばない理由がない。
お値段も高いモデルは高いけど日本市場を一番考えているブランドなので手がでないほど高いわけじゃないし、今は例の不正のせいで世間のイメージが少しだけ悪いのかもしれないけれど、輸入車でもVWに乗っていれば厭らしい感じがしない。
同じドイツ車でも普通のマンションの駐車場にポルシェがあったら「金あんなー」と隣人に目をつけられ、部屋に火炎瓶投げつけられるリスクも出てくると思うけれど、VWはよい意味でそういういやらしさがなく、乗りやすい。
GTEとGTIを試乗して、自分がどちらを買いますか?と言われたら、やっぱGTIになるんだと思う。GTEの洗練された乗り味は魅力的ではあったけれども、充電が厳しいということを考えてしまうとどうしても手が出せない。仮に、いま現時点で一軒家で充電ができる環境があるのであれば?それならば自宅充電で近所のお買い物は電気で…という生活ができるので十分購入検討対象になります。
どちらかといえばGTEみたいなガチPHEVではなくって、小型バッテリーを搭載したHVモデルみたいなものをだしてGTEモードの為にモーターと電池を使うみたいにすると面白いかもしれませんね。電池の小型化ができればその分軽量化にもなって運動性能はよくなります。
なんにしろゴルフに久々に乗ってみて、やっぱいいクルマだなぁ…と思う今日このごろ。ドイツ車をかっちゃいけないというルールを自分に課しているとはいえ、このよさを体験してしまうとあえて選ばない理由はないなぁと思う今日このごろです。
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