WRCが好きでした。
父がラリー屋だったこともあり、子供の頃から側にあったのは三菱のラリーカー。A175もミラージュもギャランも軒並みラリーを戦えるようになっていました。
そんな環境ながら、自分が最初に好きになったラリーカー、それがフォードRS200。
父は大のアメ車嫌いで、特に未だにOHVをドヤ顔で使う連中をすきになれないと豪語しておりその影響で自分もアメ車は嫌いになったのですが、その中でも唯一このフォードRS200だけは別格です。
登場が85年…自分は当時2歳かそこらです。
はじめてRS200を見たのはいつだったか…たしか小学校入学前後だと思います。
誰かが撮ってきた写真(雑誌にも出ていないので個人で撮影したものだったと思います)で、それは雪の中を走るRS200の姿でした。
白いボディに丸目のライト…当時家にあったラリーカーと呼ばれるそれらが(三菱だからw)角ばったいかついデザインだったのに対しRS200は自分の知っているラリーカーのそれとは大きくことなり純粋に「美しい」と感じたことが鮮明に残っています。
既に30年も昔のクルマ…悲運のグループBカーと呼ばれたRS200。
それを取り上げた雑誌が発売されていました。
RALLY CARS自体が結構マニアックなラリーカーを取り上げており、そりゃもうオールドラリーファンの自分としては胸熱なわけですが、今回はRS200と知って発売日前に予約。
到着したのが今日ってorz...一週間くらい待たされた気がしますよ??
「結実しなかった可能性」
「”理論上”最速のグループBマシン」
表紙の時点で鳥肌立つわこれ!!
しかも雪上ドリフト!!
自分が雪道が未だに好きなのは間違いなく幼いころに見たRS200が雪道を走っている写真のせいであり、もうこのクルマが雪道走っている絵を見ると鳥肌が立つんです。
ある程度、大人になりRS200の情報をインターネットで調べられるようになってから、デザインだけではなく性能的にも当時としては異質なものであったことがわかり感動しました。
逆トランスアクスル方式4WD!
最近のスーパーカーではフロントエンジン、リアミッションのトランスアクスル方式は主流ですが、このクルマの登場は今から30年も昔です。おまけにミッドシップの4WDでトランスアクスルというレイアウトは今も昔もRS200だけらしいです。
重量配分に優れるというメリットはあれど、機構が複雑で、これ故のトラブルも多かった模様。そりゃそうだ…現代でもなかなか難しい機構をレース用のクルマとはいえ30年前に作った時点で割りと厳しいことは予想できます。
グループBカーには多くの伝説的な車両が残ります。
キリンで有名な東本先生が出している【SS】に出てくる三菱スタリオン4WD。
グランツーリスモシリーズにも出てきますが、ゲームより早かったのは記憶ではこのマンガだったと思います。自分が高校生くらいのときのマンガで、群馬の工業高校ですからそらもうイニシャルDが大ブームだったんですが、自分は友だちと二人で「スタリオン4WDかっけえええ」とほざくなんかズレたやつでしたw
スタリオン4WDかっこいいよ、まぢで。
そんなSSの原作に出てくる主人公の元相棒というかライバル的存在が乗っているクルマにRS200が出てきましたが他にもグループBといえば終焉に導いたデルタS4などは有名でしょう。
中でもRS200とスタリオン4WDは悲運のグループBカーの象徴的な感じがあります。
グループBは公式には1982〜1986年までと僅かな期間しかなかったカテゴリです(90年代くらいまでグループBカー自体はいたるとろこでラリーに参戦はしていたようですけどね)が、その僅かな期間でもこれだけ皆の記憶に残るというのはその壮絶なマシンたちと数々の悲劇故でしょう。
RS200はまさにグループBのための車両でした。
たとえばスタリオン4WDなどはベースにFRのスタリオンがありました。
それを4WD化と同時に魔改造することでスタリオン4WDを生み出しましたが、RS200はグループBに出場するためだけにRS200というホモロゲモデルを200台用意したというパターンです。
グループBの魔改造っぷりは今では信じられない程です。
30年前のクルマが1.8Lターボで450馬力、それ車重を1t未満のクルマに積むのだからもうそりゃ化物としか表しようがないですね…
たとえば自分らだって4WDで450馬力のクルマを乗れと言われればそりゃ乗れると思います。後輪駆動に比べたら全然楽勝ですよ。ただし、ドライに限る(きりっ
RS200の主戦場は当然ラリーであり、雪道や荒地です。
RS200の寸法は
全長:4000mm
全幅:1785mm
全高:1316mm
だそうです。マツダのデミオが全長4060mmなのでデミオより短いです。
【MAZDA】デミオ - SKYACTIV TECHNOLOGY搭載車
全幅は1785mmなので1770mmのCTシリーズエボよりは広くスモールSUVのフィアット500Xより若干狭いくらいです。
全体的に見ても今時のコンパクトカーサイズのものに450馬力のエンジンを積み込んでラリーを走らせる行為がどれだけ馬鹿げたことか…それでも現代であれば電子制御やタイヤの性能向上でトラクションを掛けて安心して速く走らせることは可能でしょう。しかしグループBカーの登場は30年前です。当時としては画期的な4WDシステムはおそらく現代の市販車のランエボやインプレッサの方が有能なのでは?と思うほどのものだったと思います。
そんなクルマを走らせ、しかも観客の統制も取れていないようなシーンで悲劇は起きます。
散々言われますが、”もしも”グループBが存続していればRS200は別な意味で伝説的なマシンになれたかもしれません。理論上ではすべてのグループBカーを蹂躙できるだけのものであったことは確かだと思いますが、ラリーを取り巻く環境はRS200の将来を奪いました。
クルマとニンゲンはよく似ている…人間が作る機械だし、人間の社会に生きるものなので当然でしょうがどんなに優れた機械や人間でも運が悪ければ、環境が悪ければ生きる場所を失います。
とはいえ、30年経った今でもラリーファンの心に生き続けるグループBカー。
その中でもスタリオン4WDと同様に時期が遅すぎてわずか数度のレースで消えたRS200、興味のある方は是非ともお手にとって見てくださいまし。
RALLY CARS Vol.11 FORD RS200 (サンエイムック)