秋分の日の午後、ぼくは美容院で髪を染めていた。
暇つぶしに読んでいた雑誌、その雑誌は最新のガジェットだったりを取り上げている雑誌で、特段自分の興味を引くものではなかった。
…はずだった。
ぼくは、ある1P、そこに書かれていた【時計】に目を奪われた。
カシオがこの9月に出した新型のG-SHOCKだ。
ぼくは小学生から中学生の終わりまで、馬鹿みたいにG-SHOCKを買い集めたことがある。
G-SHOCKは当時の自分にとっては、何をやっても壊れない。たとえぼくが学校の屋上から突き落とされても、時計は正常にぼくが生きれなかった刻(とき)を歩む無敵の機械だった。
死亡時刻が分からないというデメリットはあったが、そんなことよりも人間よりもタフな時計がこの世界には存在する!という事実が厨二病ならぬ、小六病のぼくの心をストライクした。
そんなG-SHOCKブームは30歳のおっさんの中では下火とはなっていたものの、
スマホは今は亡き(携帯事業から撤退したという意味で)カシオのG-SHOCKスマートフォンを愛用し、いまなおCAL21を利用する、心の奥底で【G】を信仰する大人にはなっていた。
壊れないものは素晴らしい。
話を元に戻すと、その雑誌に載っていたGBA-400はスマートフォンと連携、音楽アプリの操作を腕時計でできるというものだ。
機能だけを見れば、Androidのスマートウォッチ、ペブルなどは既に存在している。
評価すべきは、カシオが出したことだ。
何しろ、カシオだ。
時計と言えば、G-SHOCKだ。
落とした程度ではもちろん壊れない。
水圧で人間が死んでも、時計はもちろん機能するだろう。
沈みゆく水の中で「人生の最期は何を聞こう」そんな幻想的なことも、できる?
(水中でBluetoothが使えるかは知らない)
そのG-SHOCKで音楽再生機の操作ができる、それは実に素晴らしい。
ところで、ぼくの音楽再生機はipod touchだ。
ipod nanoが壊れて、Retinaで表示検証もできたらいいよね!と単純な理由で乗り換えた。
電池の持ちがあまりよろしくないことを除けばすこぶるよろしい。
プロセッサがしょぼいのか、時々落ちるのもご愛嬌。
CAL21のほうでは音楽も再生していないし、このipodと連携できることが重要だ。
iphone5とは連携できるという情報はあったので、
基本電話がないiphoneであるipodでももちろん使えるだろう。
そんな深夜二時のテンションでポチる。
ゴルゴ13を連想させるGの文字。
よりにもよって、なんでこの色なんだ!
ド派手なカラーリング。
だけれど待って欲しい。
このカラーリングはどこかで目にしたことがある、
あいつを彷彿とさせないだろうか?
あいつだ!
まるでコラボしたみたいなかっこいいデザイン。
Gマニアであり、Gマニアでもある、このぼくの心、
このカラーリングで一気に持って行かれた。
いや、もうスマホ連携とかしなくていい
このゴールドのカラーが全てだよ!
カシオがなんでこんなカラーを採用したのかは分からない。
けれど、開発者の中に「バンシィやりましょうよ!バンシィ!」と言った人がいたとしか思えない。
ユニコーンがないのは残念だし、そもそも黒にゴールドのコンビは一歩間違えれば下衆色だが、この時計の場合はよく似合っている。
さて、興奮を抑えよう。
時計だけでは始まらない。
肝心のスマホ連携を行う必要がある。
ipodにG-SHOCK +とG’ MIXの2つのアプリを入れる。
■G-SHOCK +
このアプリはG-SHOCKとスマートフォン(この場合はipod)を連携させるもの。
まずは時計側の設定を行う。
G-SHOCKとipodはBluetoothで接続するため、ペアリングを行う。
ipod側のBluetoothをONにして、時計左側のボタンを長押すると勝手にペアリングする。
ときたまペアリングしづらい時があるが、ipodとGBA-400を近づけたりするといい。
黄色矢印が示すギザギザの丸ボタンがペアリング用のボタンになり、
これでGBA-400側はBluetoothペアリングのON/OFFを行える。
接続状態は矢印右横のON/OFFと書かれた金色の円盤が回転することでわかる。
円盤が回転するギミックは、狙っているとしか思えない格好良さ。
ロボットが好きな人ならこのギミックにいちいち感動することになるだろう。
それくらいに格好いい。
この格好良さを味わうために「金色」をオススメしたい。
デジタルなのに、アナログをうまいことミックスさせるのがカシオの古くからのやり方だと思うが、Bluetooth連携機能もまた格好良さのひとつとして表現するあたり、きっとデザイナーが優秀なんだと思う。
だからコアなファンが多いのだろう。
無事にペアリングできたらアプリ側で時計の設定を行える。
いまどきの時計はアプリ側で設定変更するんですね!
この時計を買うときに、電波時計じゃないというのがネックになっていた(日に一度時計の針を合わせる習慣がぼくにはある)のだけども、よくよく考えればスマホと連携する=ネットワークで時刻を同期できるということだ。
腕時計なのにNTP!
なので電波である必要がない。
指定した時間にipod側と時刻を同期する設定がちゃんとある。
それでも納得が行かない人はマニュアルで時刻を修正できる。
ディスプレイ上で針を修正するのがいかにも今風だ。
■G'MIX
こちらが本命。
音楽再生アプリだ。
iOS標準の音楽アプリも使えるようなのだが、
折角なのでとことんカシオに抱かれてみたい。
音楽アプリを使う上で不安になったにが、itunesはどうなるのか?という点だ。
折角作ったプレイリストが、G'MIX上で使えなかったら意味が無い、というより激しく不便だ。
1000曲を超える曲を再編集するだけで、日が暮れる。
結論から言えば、上記の問題もまったくなかった。
プレイリストの中身はご愛嬌だ!
ちゃんとitunesで作成したそれが反映されている。
再生画面もカシオっぽく、非常に厨二臭い
このアプリの美味しいところは、イコライザだ。
itunesのイコライザに不満を持つ人も多いだろう。
このアプリのイコライザは、そんな不満を解消するだけのものがある。
カーオーディオばりの無駄な詳細設定が可能。
気に入らなければ細かな設定もできちゃう!!
無駄に凄い。
これを使うと、もうitunesでなんか曲聞けないぜ!(個人差があります)
それくらいに無駄、凄い!
無駄ついでに言えば
再生速度が変えられる…
itunesってできないよね?ハックすればできるのかな…
使わないんだけどさ
あとは外で流れている曲をスマホに聞かせることで「曲名」を探す機能とかある。
これも多分使わない。
G'MIXの画面上でロータリースイッチとボタンの組み合わせでできることを決められる。
右下のボタンを押すと、「何をするか」が切り替わる。
音量→曲名とボタンを押す度に切り替わり、あとは竜頭代わりのロータリースイッチを上下に回すことで音量UP/DOWN、1曲進む、戻るができたり、上の画像であるように細かく何ができるかを切り替えられる仕組みだ。
ぼくの場合、曲と音量だけいじれたらいいので誤操作防止のために2つしか機能を振っていない。
こんなかんじで難なく、G-SHOCKとipodは連携は完了。
いや、別にipod側で操作すればよくね?という声もあるだろうけど、ぼくは普段バイクで都内を移動する。
するってと、音楽の切り替えはいちいちジャケットに入れたipodを取り出して、画面を操作しなきゃいけない。
時間にして数十秒、でもその数十秒は信号待ちをしているときには結構ストレスだ。
青信号になったら慌ててポケットにipodをしまうことなる。
それは危ないし、すべきではない。
けれど操作を時計でできたらどうだろうか?
スイッチを回すだけなら時計を目視する必要はない。
操作するボタンはたった2つだからだ。
操作を間違えても曲が変わるか、音量が変わるだけだ。
信号が青になっても時計なら手を離したところで落ちない、ipodならポケットに入れることをミスしたら、考えたくもないことだ。
固定された場所にあるデバイスで楽曲操作ができる
これが便利であることはバイク乗りなら理解してもらえるはずだ。
カシオ押しだが、自分はMac使いだし、Apple製品に結構抱かれている。
だから、Apple Watchも気になってはいる。
「Apple Watch」の第一印象--アップル初のウェアラブルに関する疑問に答える - CNET Japan
多分、買うだろう。
ipod…いや既にiphone6+を予約した身なので、端末を腕時計で操作できるというのが魅力的に感じられるのは、自分の活動がバイクに乗ることが前提のものだからとも言える。
そして、Apple Watchの素晴らしいと思った点は竜頭だ。
G-SHOCKにも竜頭もどきがある。
ダサい!という意見も目にするが、
ぼくは素直に素晴らしいと賞賛した。
理由は単純だ。
G-SHOCKでもそうなのだが、
グローブを付けたまま操作ができる。
タッチパネル対応などのグローブも存在する。
むしろ、最近のバイク用のグローブはそれがメインというくらいにある。
けれどやっぱり反応は鈍いし、そもそもバイクの装備はデザインで選ぶことも多く、その場合にタッチパネル対応だからとグローブを選ぶのってどうなの?というところでもある。
ダイヤル(竜頭)はその問題を簡単に解決する。
冬用のグローブは機能上分厚いので指先での操作はしづらいのはあるが、できないことはない。
GBA-400の場合、ダイヤルは指先で回せばOKだ
むしろ冬用の分厚いグローブでジャケットのポケットからipodを取り出し、
反応が鈍いディスプレイを操作し、曲を変えることのほうつらい。
Apple Watchのダイヤルがどのような機能を持つのかは詳細は不明だ。
けれど、ぼくのようなバイク乗りにはありがたい機能を持つことを切に願う。
またApple Watchが出ても、
このG-SHOCKシリーズは価値を失うことはないようにも思う。
理由は3点ある。
1.稼働時間
2.G-SHOCKブランド
稼働時間であるが、今のところApple Watchは連続稼働時間は一日程度と言われている。
ペブルもそうであったが、稼働時間が短く、常に充電問題が付きまとう。
それでは普通の時計として使うには、あまりに不便ではないか?
けれど、G-SHOCKは一日2時間Bluetooth使用で約二年は電池が持つと言っている。
仮に半分の一年でも、時計としてはまぁまぁ実用的な稼働時間だ。
できることは限定的とは言え、逆に限定した用途にすることで時計としての実用性を持たせる。カシオの選択は正しいと思う。
なんにせ、自分の用途からすれば楽曲操作できるだけで十分なのだ。
電車で移動する人はまた違うだろうが、バイクで移動する人間は信号待ちでメールなんか読んでられないし、電話もなるべくは出たくない。必要なら路肩に止まって見ればいい。
2つめのG-SHOCKであること、
これは、G-SHOCKであるがゆえの 圧倒的なタフネス
世に出回っているウェアラブルデバイスがそこそこの耐水性を持っていると謳っていても、G-SHOCKが耐えられる限界水圧を加えれば大半が原形を留めないだろう。衝撃に関しても同様だ。
G-SHOCKが1983年(そう、ぼくと同い年なのだ)に発売されてからもう30年以上の年月、この間で築きあげた信頼性はどの端末をもってしても敵わない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/G-SHOCK
そんなわけで、如何なるデバイスが今後登場しようとも、カシオがこのシリーズを継続させることは意味があると思う。
「いらないでしょう」という声ももちろんあるだろう。
でもそんなのは、個々の用途で変わってくる。
使用環境は人それぞれなので、何をもって優とし、何を持って劣とするのかを判断するのは難しい。
どんな扱いづらそうに見えるデバイスにも、特定の用途の人には非常に価値があるものなのだ。
さて、最後にふと…
昨晩アプリ対応一覧を見ていて…
カシオ製スマホ動作保証外じゃん
我々CAL21使いは、親に見捨てられたかわいそうな子である。
おとなしく、Torqueを買えってことでしょうかね…orz