1月末に血中酸素レベルの測定機能が追加されたHUAWEI GT 2 Pro!
常時計測も可能とありましたが、手首を動かさず安静にしているタイミングで勝手に計測してくれるみたいなものだったようです、少なくともiOSとの組み合わせでは。
常時計測をONにしておくと電池の減りが気持ち早いし、血中酸素レベルをそんなに測定したいか?と言われるといまのところはNOなので、バッテリーの持続時間テストをしている今は一端計測をOFFにしています。
今日でまるまる一週間、なかなか調子がよくて久々に手放せないデバイスになりました。
こんなに四六時中装着しているデバイスなんてあったかな??
前の会社でもらったMisfitですらそんなに付けていなかったぞーと思いつつも、そういえば一度だけ昔、G-SHOCKの他にも気に入ってつけていたスマートウォッチがあったことを、そう部屋の掃除をしていたら出てきた空箱を見て思い出しました。
伝説のスマートウォッチ「Pebble」
かつて某クラウドファンディングで最大規模の支援金を得たプロジェクト「Pebble」。その功績とAppleよりも早くスマートウォッチ界隈に火を付け、既に会社は精算されサポートすら受けることのできないにも関わらず熱狂的な信者がいるこのPebbleを思い出すように書いてみたいと思います。
■ スマートウォッチの歴史は実は長い
スマートウォッチが多くにうけいれられたのはここ数年…スマホがそうであったように、スマートウォッチの分野でもAppleWatchが出たことで一気に火がつき、ニッチなジャンルだったものが今やレッドオーシャンになりました。
そもそもスマートウォッチとは何か?というところでいうと単純には「時計」+αの何かなんです。極論を書いてしまえばアナログ時計と電波時計や世界時計を装備しただけでもスマートウォッチと呼べなくもないということです。シンプルに何かの通知が時計に来るだけのものでもそれをスマートウォッチと呼ぶことも可能なようです。
とはいえ単純にデジタル時計に世界時間や電波時計の機能を組み合わせたものを今はスマートウォッチとは呼びませんしそのあたりの意味合いは昔とは変わってきている気がします。
それを頭に入れて歴史を勉強してみると自分が大好きなカシオは既に1980年代にスマートウォッチをリリースしています。
自分の記憶にあるのはカシオの「データバンク」です。
データバンクに小学生の頃、かなり憧れ購入した記憶があるのですがこれも広義ではスマートウォッチの一種になります。
初登場は1984年で初代は電話帳が10件保存可能とのことでした。今思えば「10件かよ、しかも電話帳」となるはずですが当時は携帯電話なんて一般人が使えるものではなかったですし連絡をとるにも公衆電話を利用する必要がありました。当然、手帳に電話番号などをメモしていたでしょうからデータバンクに10件でも必要な電話番号をインプットできるというのは斬新だったのではないかと思います。300近いモデルが最終型までに出たそうですが計算機つきなど地味ながら便利なものでした。もちろんスマホがあれば今は全部できてしまいますが、当時の技術を考えればこんなシンプルなものがついただけでも革新的なデバイスだったと言えます。
1980年代はセイコーが腕時計型コンピュータを出していたり、30年以上昔から「スマートウォッチ」と呼べるものは存在していたようです。
00年代になりPDA(携帯情報端末、スマホの走り的な)との連携を考えた時計がいくつか出ています。
これ!すごくほしい!と思った時期がありました。。。当時で6万円弱、なかなかのお値段でした。この時代から「PDAとの連携」、すなわち持ち運び用のコンピュータからの通知を時計で受け取ることが意識されはじめています。
それでもまだきっと一部のビジネスマンなど限られた人が使う端末だったでしょう。そもそもPDA自体、そういうものだったので通知を表示させる端末に関しても普及はしなかったはずです。学生の頃のはずですが、自分の周りでスマートウォッチを付けている人は一人も見たことはありませんでした。
時は流れて2012年、「Pebble」のプロジェクトがクラウドファンディングで立ち上がり、2013年に日本でもPebbleが発売されました。
自分が購入したのは2014年でした。
AppleWatchの初代が発売されたのは2015年4月でしたから1年も早くPebbleを手にしていたことになります。
■ 時代背景と話題性
今でこそ「スマートウォッチ」と呼称していますが、この時代にはまだそんな呼び方は存在していません。そもそも一般人向けにスマートウォッチが存在していなかったためPebbleも当初は「電子ペーパー時計 iPhone&Android」という名称だったことが当時の記録から見て取れます。
プロジェクト自体実機は存在せず、動画を公開しそれを見て感動した多くの人から支援金を集めプロジェクトは過去類を見ない成功を収めました。
実機も存在しないプロジェクトが動画だけで目標額$100,000に対して$10,266,845という途方も無い金額を最終的に集めてゴールしています。日本円に換算すると1,000万円集めるはずが10億円集まったのです、とんでもないことになったんですよ。
もう一度書きますがこれはAppleWatchが登場する3年も前の話です。
世の中にはスマートフォンはiPhoneもAndroidも出てはいましたが、その端末と連携させる時計というものはまだ世の中にはなく、Pebbleこそがいま我々が使っているスマートウォッチのはじまり、またPebbleの成功なしにはもしかするとAppleWatchをはじめとする多くのスマートウォッチ…ウェアラブルデバイスが登場することも認知を得ることもなかった可能性があります。
何よりも「アプリをダウンロードできる」、「アプリを開発できる」など多くの可能性がユーザーに提示されていました。
いまでこそ心拍数の測定などは大半のデバイスで可能です。
ただその可能性を2012年時点で提示し、実際プロジェクトが終了する4年弱のその最終モデルでは精度は微妙だったものの心拍数測定機能がついたPebbleもリリースされています。
あらゆる意味で時代の先を行ったデバイスで、それ故に多くのファンがいたのだと思います。
■ Pebbleの魅力、今でも通用するそのコンセプト
2012年に登場したPebbleですが今でも凄いと思うのはそのコンセプトが今でも全然通用するというところです。
なんだったら今のスマートウォッチよりも優れた面もあります。
Pebbleの魅力は「時計」を捨てていないことでした。
Pebbleは本当の意味での「常時表示」「7日稼働」だったのです。
現代のスマートウォッチはどれも常時表示を基本として作られておらず加速度センサーを用いた腕を振り上げるとスリープから回復することで節電したり、ボタンを押すことで時刻を表示したりするものがほとんどです。
カシオのように常時時刻だけは表示できるものもありますが、それはあくまで節電のためでメインの文字盤は他にあります。
メインの文字盤表示は大きく電池を食うので普段は使われませんが、Pebbleは本当の意味で常時文字盤を表示できました。
Pebbleの基本的な考え方として時計なのだから視線を落としたときに時刻が見えることが最低条件だというものがあったと何かで読んだことがあります。その上でスマートウォッチだからといって充電を頻繁にするのではなく電子ペーパーを使い省電力とすることで連続7日稼働を実現しました。
シンプルな液晶表示で7日であれば現代のスマートウォッチでも実現されているものはあると思いますがPebbleはすべての情報を表示してその期間に近づけています。
なによりも2012年時点でその省電力を意識された電子ペーパーの採用だったというのが凄いのです。遅れること3年後に出た初代AppleWatchの稼働時間はどれほどだったでしょうか?しかも常時表示ではありませんでした(Appleが常時表示に対応したのは2019年のAppleWatchSeries5から)。
今やスマートウォッチ市場のおよそ半分を奪うAppleでさえそんなものなのです。
もちろんAppleはウェアラブルデバイスとして「時計」の形をした「iPhone」のようなものを生み出していると考えれば時計の機能を犠牲にしていてもおかしくはないですし、実際4年弱でその生涯を終えたPebbleとAppleのどちらが成功者であったかと問われれば答えづらいところもありますがPebbleが一貫して守り続けた時計としての基本の基はその生涯を通して守られた利点であり、同時に長時間稼働も素晴らしいものでした。
■ Pebbleに見るスマートウォッチのありかた
いま改めてPebbleを見直すと「優れたデバイス」であったと再認識できます。
それはコンセプトが優れていたからこそ、いまそのまま出てもまた一定数売れるだろう魅力があることです。
スマートウォッチは今や高度に多機能化しました。
AppleであればSIMを挿して時計そのものが通信を可能にします。
ただしその稼働時間がいかほどのものでしょうか?
毎日のように充電する時計は時計として果たして使い勝手がよいのでしょうか?
当たり前のようにスマホを充電する、それと同じ用に時計も充電すればよい…その考え方は確かに正しいとは思いますが「時計」はあくまで「時計」です。時間を見るためのデバイスがたった1日、2日で電池切れを起こしていてどうするのか?ましてや充電可能な環境にいない場合はどうするのか?
毎日充電すればいい派の人だってAppleWatchSeries8あたりで「連続稼働時間が7日になりました」とアナウンスされたら大喜びで買い換えることでしょう。そういうものなのです。2021年のバッテリー技術をもってしても多機能化したスマートウォッチを長時間稼働させるのは容易ではない…ということです。
確かにPebbleは見た目はただの玩具でした。
プラスチッキーなボディは如何にも安物ですし、実際日本円で1万円前後で買えたような代物です。
それでも充分に使えたのです。
チープカシオのファンがいるように、時計に高級感を求めなければ時刻同期で常に正しい時間を示し、時刻・アプリの通知や天気予報を常に表示できて、バッテリーが長持ちする端末は魅力的でしかない。
身体計測ができないならば他のウェアラブルデバイスを装着すればいいだけの話です。
ひとつに多くの機能をもたせたところで実際どこまで使いますかという話もあるし、いまどきスマートウォッチ単体で何かをするとすればそれは運動のときくらいなものだと思うので多くの機能をスマホにもたせて時計はシンプルという考えも逆にありといえばありなんだと思います。
ただ多くを語ったところで先駆者であったPebbleは今は亡きものとなりました。
2015年3月にAndroid wareが、同年4月にはAppleWatchが出てきました。巨人たる2社にベンチャーのPebbleは立ち向かうすべもなかったでしょう。またiOSとAndoroidというスマホと連携できる基盤があったこともかなり大きな問題だったはずです。
Pebbleは2年で100万台という異常な台数を販売しましたがAppleWatchは初日に100万台の予約が入ったとも言われています。圧倒的な力の差でPebbleは食われました…あのクラウドファンディングの動画に出ていた笑顔の若者たち、どんな気持ちだったのか考えるだけで吐き気がしてきます。
まさにレッドオーシャン…市場規模の前にPebbleは太刀打ちできなかったということでしょう。
戦いにはやぶれ、Fitbitによる買収(という名のつぶし?)で跡形もなく姿を消し、今や知る人ぞ知る、愛好家の間でかろうじて生きているだけの端末には成り果てましたが、それでもまだ時折名前を思い出すのはPebbleという端末のそのコンセプトが優れていたからだと思うのです。
AppleWatchがどんなに優れていても、自分はPebbleは1年以上使いましたがAppleWatchは1ヶ月で限界でした、使いづらすぎてすぐにヤフオクで売却したのです。当然高値では売れましたが、「スマートウォッチってこんなものかよ」と思った記憶があります。
先月末、再びスマートウォッチに戻ってきました。
HUAWEI GT 2 ProはPebbleよりも大きく進化はしていますが、長く使えるスマートウォッチなのか…あのPebbleのように使い続けることに抵抗がない端末なのだろうかと検証しながら毎日を過ごしていますが、今のところはかなり好感触です。
やはりバッテリーの心配をしなくてよいというのはそれだけ楽です。
あのPebbleのように、たしかに機能的には足りないところがあるかもしれないけれど「時計」としてみてどうなのか…そんな期待を持ちながら使っていけるのは楽しいですね。