ミニマムにととのいたい
日本の道路には小さなクルマが良く似合うことは、日本人なら誰もが知っていることで、日常的な買い物等で使いたい車は何か?と質問をされたとき「ハマーH2」と答える奴はまずいない。
多くはフィットのようなコンパクトカーや軽自動車を挙げるはず。
事実、ハスラーは銭湯に行くにはちょうど良いと思った。
ただ、同時に物足りなさもある←
サウナーとは贅沢なもので、常に最高のサウナと水風呂と外気浴を求めてしまう。最初は18℃の水でも冷たいと感じて入れないと泣き言を吐いたやつも、1か月もサウナに通い続ければ18℃なんて温すぎて耐えられない、シングル(水温一桁の水風呂)を寄越せ!と暴れ出すものだ。
同じようにサウナーを満足させるクルマも贅沢を求める。
サウナは別に毎日やらなくてもいいものだし、なんなら贅沢なものだ。
平日の会社帰りのサウナなど、贅沢すぎて鼻血がでるし、背徳感に溢れている。
自動車で言えばサンルーフのようなものだ(この話がしたかった)。
サンルーフがなくても、オープンにならなくても別に自動車としての機能や利便性にはなんら問題がない。逆にサンルーフやオープン機構があることで雨漏りなど余計なトラブルを招く。
けれどサウナーにはオープンカーや最低でもサンルーフ、ガラスルーフを推す。
ととのい後に見る空の美しさを、知っているかい?
そう考えると日本の道路でととのうにはコペンが一番じゃないか。
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- 作者:鈴木博
- 出版社/メーカー: エンスーCARガイド
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
このサイズでハードトップが開く、こんなクルマは世界中を見ても日本にしか存在しないだろう。
最小回転半径は実に4.6mだ、これなら狭路で泣きをみることはない。
しかし、コペンで車中泊は厳しい。
テントを出せばいい話だが、自分から言わせればテントを出すくらいなら最初からバイクでいいじゃねーかという話。
バイクなら無限の開放感を味わえるし、それはどんなクルマでも敵わない。
もし対等に戦えるクルマがあるとするならばスーパー7くらいなものか。
ライダーで旅が好きだった自分だが、実はテント泊をしたことは数えるほどしかない。基本は無人駅のベンチで野宿か、そもそも寝ないで走り続けるか、眠くなったらバイクのシートで座って寝るかだった。
なぜかって?テントの出し入れが面倒だからだよ。
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収納が下手なのもあるが、いちいち自分の寝床を作るのが面倒だし、なによりその準備で移動時間が削られることが苦痛であり、許せないことだ。
東京から熊本県の湯らっくすまでは下道で30時間以上もかかる。
移動でそれだけ時間がかかるのに寝床の準備に時間をとられたくないし、車中泊以上にテント泊は寝床の確保が面倒(キャンプ場などに行かねばならない)だ。
だったら後部座席や助手席を倒したスペースに寝床を作っておき、眠くなったら後ろに移動して寝ればいいという究極ぐーたら旅が理想だ。
準備の時間があるなら、そのぶん長くサウナに入ってくれ。
それも踏まえてサウナ活動に必要な贅沢条件は・・・
◆ガラスルーフ・サンルーフ・オープンにできる
◆車中泊ができる
◆ロングドライブで疲れない(目的地は湯らっくすor北海道 白銀荘)
◆高燃費
最低でもこの4つは欲しい、そして都内の銭湯から湯らっくすまで、どこのサウナでも連れて行ってくれるような相棒・・・こんな贅沢を満たせるものはあるのだろうか?
実は、あったのだ。
お洒落なフレンチコンパクト
現行トゥインゴは2014年に発表された。
先代トゥインゴが前輪駆動であったに対し、現行トゥインゴは今どきレアな後輪車軸よりも後ろにエンジンを搭載するポルシェのようなRRレイアウトを採用して登場した。
1L未満の低排気量に6速DCTという贅沢なトランスミッションを積むクルマは、いまのところルノー・トゥインゴとその姉妹車であるスマートくらいしかないはずだ。
6速が必要なのかと問われれば「あるなら欲しいだろ」というのが人の常。
高コストになりがちなデュアルクラッチ式ATを200万円以下のコンパクトカーに採用できるのはルノーの強みだ。
グレード構成は2020年2月現在で
◆トゥインゴEDC:6速AT(199万円)
◆トゥインゴS:5速MT(179万円)
◆トゥインゴ・キャンバストップ:6速AT(211万円)
このようなラインナップになっている。
つい先日MTとキャンバストップが追加され、今までノーマークだったトゥインゴも「サウナに使える」クルマとして候補にあげられるようになった。
普通に考えたら売れ筋はEDCモデル、キャンバストップとマニュアルモデルはマニアックな奴にしか売れないだろうけど、ルノーのようなフランスブランドはコアなファンがいるのでそれでも一定数売れてしまうのが怖い。
今回「サウナ活動に使うクルマ」というテーマで探したとき、このトゥインゴ・キャンバストップが頭に浮かんできたわけだ。
エクステリア
マイナーチェンジで顔つきも変わって、どちらがいいかという話もある。
別にエクステリアはさほど問題じゃないので気にしない。
重要なのはそのサイズ
このサイズ、新型フィットより全長は350mm、全幅は45mmも短く、軽自動車のハスラーと比べても全長は250mm長いに過ぎない。このコンパクトカーと軽自動車の中間くらいのサイズは「そこそこ人と荷物がのる」こと、サウナに欠かせない条件も有するがそれはまた後ほど。
キャンバストップを選んだのは当然屋根が開くことだ。
このサイズでオープンをやろうとすれば必然的にキャンバストップになる。
トゥインゴのキャンバストップは上で幌が止まるのがいい。
一目見た瞬間から、こいつでサウナ旅をしたいと思わせる不思議な魅力がある。
インテリア
エクステリアよりもトゥインゴの場合はインテリアの方に興味を持つ。
デビューから相当な年数は経過したものの、初期モデルには存在すらしなかったディスプレイが装着されてAppleCarplayなども使えるようになったそうだ。
これで利便性はだいぶ向上した。
いくらスマホナビが主流かつスマホも年々大型ディスプレイ化するとはいえ、やっぱりナビくらいは車載のディスプレイに投影したいと思う。こういうアップデートが行われるのはいいことで、細やかな装備がサウナ旅を快適にする。
とはいえフランス車だ、ドリンクホルダは後部座席用にセンターに1つある程度。この試乗車にはディーラーオリジナルのドアに穴を開けてつけるタイプのドリンクホルダが装着されていた。ドアの開閉で缶飲料が吹き飛ぶ優れモノだが、ないよりはあるほうがいい。
サウナ後に屋根を開けられてもオロポやイオンウォータの置き場がないのは辛い。
今どき手動のサイドブレーキかよって、確か何かのクルマで騒がれていた。
トゥインゴは手動だ。自分は電動よりも手動のほうが好きだ、サイドターンもできるし、電動であることになんのメリットがあるのかよくわからないからだ。
収納はミニマム。
グローブボックスもそこそこ使えるし、あとは工夫だ。
トゥインゴのインテリアで最大注力すべきことはやはり屋根。
このサイズでキャンバストップがどれほどの開放感なのか、ご覧いただきたい。
凄くない?
この車体サイズで開放感ではプジョー「3008」もボルボ「S60」も敵わない。
対抗馬はジープ・ラングラーくらいで、なにしろあちらはドアすら取れる。
閉めたときはこんな感じ。
後部座席から眺めるとこんな感じ。
キャンバストップは常に開けて走るものだと思う。
サウナに入る前も、あとも、このクルマはオープンカー同様に無限の天井高と無限の可能性を感じながら走ることで無限の喜びを手にすることができる。
先程エクステリアで幌が天井で止まることは紹介した。
競合になるフィアット500Cは後部座席後ろまできっちり開くので開放感は確かに負ける。
ただ、後ろの視認性に関してはトゥインゴの形式のほうが確保される。
5ドアで後部座席用のドアも備え実用的なクルマ、そのあたりはフィアットとの違い。
天井が大きく開くという点ではどちらも同じような魅力がある。
非力を愉しむ、大人の余裕
サウナに行くために500馬力も必要か?と言われたら一部の高速道路でガンガン前走車を煽りながら目的地までハイパワーの優越に浸り走りたい人を除けば不要だろう。
サウナーは紳士だから、パワーにものを言わせる走り方は好まない。
そんなことよりもガソリン代をサウナ代にして地域サウナに貢献したいと願う人の方が圧倒的に多いのではないか?
そんなサウナーに寄り添うトゥインゴは非力だ。
なにしろ92馬力しかパワーがないが、多くを求めなければ十分だ。
後輪駆動でRRを採用するのでエンジンはラゲッジの下、そのためアクセルを踏み込んでエンジンが唸っても前輪駆動より騒音はシャットアウトされている。
トゥインゴの価値は速さでも爆発的なパワーでもなく、無限の空だ。
この遅さは空を愉しむ余裕になり、そしてサウナ後には疲れにくさすらあるだろう。
大体、ハイパワーなクルマは疲れるし燃費だって悪いのだ。
日本の狭い道路、92馬力もあれば高速道路だって不足しないはずだ。
繋がりのいい6速EDCもなかなかいい。
マニアなら5速MTかもしれないが、サウナーは燃費を求める。
プラス1速の余裕が高速巡行時の回転数を低く抑えてくれるはず。
残念ながら速度は試乗で出せたけれどタコメータがないから回転数がわからないorz...
もしパワーに不満があれば幸いなことにターボユニット付きのトゥインゴだからサブコンさえラインナップに出てくれば100馬力を超える。
2020年2月時点ではマイナーチェンジ後の92馬力エンジンに対応しそうなサブコンがなかったけれどすぐに出るだろう。
そうすればトゥインゴGT並のパワーとトルクが手に入り、きっと楽しい。
アイドリングストップも付いていたが、復帰が遅すぎてそもそもちゃんとエンジン掛かるのか不安だったのでOFFにしてしまった。そもそもアイドリングストップなんてどれだけ効果があるのかわからないから自分は使わない。
サウナに行くことを楽しめる
トゥインゴは軽自動車よりも図体は大きいのに、最小回転半径はなんと4.3mとハスラーよりも短く、それどころかトゥインゴに最小回転半径で勝る軽自動車はスズキ・アルトしかない。
だから都内の銭湯もサウナもトゥインゴなら躊躇せず突っ込んでいける。
トゥインゴのボディサイズの魅力で触れたが、このトゥインゴ実はぎりぎり車中泊も可能なギミックがある。
助手席を倒してしまえば小柄な人なら十分に横になれる空間が生まれる。このとき5ドアだと車中泊の準備が捗る利点がある。
キャンバストップをオープンにして空を仰ぎながら横になれるとか最高だ。
サウナカーを牽引できるなら、山奥の誰もいないところでサウナに入り、車中で全裸で空を見上げて横になってみたい。
フランスと言えばヌーディストで、サウナでも全裸混浴があるという。
そんな文化で生まれたトゥインゴは全裸で運転してもいいような気がしてくる雰囲気に満ち溢れている。
法律が許せば全裸ドライブをして、そのままサウナに駆け込みたい!
そして忘れちゃいけないのがその価格設定だ。
これだけの魅力を持ちながら210万円(ぉ
屋根があく小さなクルマ路線で言えばコペン・セロの上級グレードよりも安い。。
どちらがいい悪いではないけれど自分のように横着なテントを張るのが面倒な人間はトゥインゴのほうがいい、車中泊で横になれるメリットはコンパクトで屋根があくジャンルではトゥインゴ1強だ。
維持費などを考えれば税金はたしかに軽自動車のほうが安いけれど日常的に使うなら2シーターのコペンは購入者をかなり選ぶ。
複数台持っているならいいが、1台しか持てない状況でかつ夫婦プラス子供がいるという状態ではコペンは選べないがトゥインゴであれば5ドアだし、ATだし、荷物も乗るし・・・軽自動車を狙っていた家庭なら受け入れられる可能性が高い。
ライバルのフィアット500Cは上級グレードはほぼ300万円になる。
FIAT 500C (チンクエチェント シー)|コンパクトカー|FIAT
フィアットよりも馬力もトルクもあり扱いやすい6速EDCを搭載し5ドアで実用性も担保し80万円も安い。
「しきじ」平日料金570回以上分も安く買えるとかやばすぎでしょルノー。
◆軽自動車にもライバルにもない5ドアオープンエア
◆日本の狭い道でも扱いやすいサイズ
◆車中泊がぎりぎりできそうなシートレイアウト
◆軽自動車よりも短い圧倒的な最小回転半径
◆とにかく安い
日本の道路事情と生活環境に合わせてできたクルマで、この国の銭湯とサウナを攻めるにはジャストサイズでととのえる!!
これだけの魅力を小さな箱に詰めこんだトゥインゴはスーパー銭湯みたいな1台だ。
本当に求めていたもの
サウナに行くためにクルマを使おう、それにふさわしいクルマはなんだろう?
それがここ最近のテーマでもあった。
総額700万円もするボルボにも、600万に届くメルセデスやラングラーにも乗った。けれど一番求めるものに近かったのは総額250万円にも満たない トゥインゴ・キャンバストップだったのだ。
細かなネガを吹き飛ばせるくらいにこのサイズ感とオープンの開放感は魅力的だった。
シートもチープに見えるが案外長距離は平気そうな感じでさすがはフランス車だと思う。なにより不満があれば変えられる、それくらいに車体が安いしヒーターやマッサージなど複雑な機構も持ち合わせていない。
そんなトゥインゴでサウナを探す旅に出たら最高にハイになれると思う。
トゥインゴで白銀荘まで行きたい。
1300kmを18時間かけて走りたいし、北海道を周遊したい。
フランス人はこんな楽しいクルマで日ごろからサウナを愉しんでいるのか!
こんな気持ちいいクルマで全裸を満喫しているのか!!
フランスに移住したくなるほどに魅力的なクルマを持っている。
最高の1台に出会えた。
これはコンパクトながら絶品のTHIS IS 最高に丁度いいサ活カーであった。
ニューモデル速報 インポート Vol.57 ルノー・トゥインゴのすべて
- 作者:三栄書房
- 出版社/メーカー: 三栄
- 発売日: 2016/08/03
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