サウナとの出会いは突然に・・・
サウナにまったく入ったことがないわけじゃなかった。さすがに齢36ともなれば、その人生のうちに1度や2度サウナに入ることだってあった。
そのときは「ととのう」ためでも、健康のためでもなく単に「怖いもの見たさ」でサウナ室に入っていた感が強い。そもそも「熱い」だけの部屋に、暑さが苦手な自分が入ること自体愚かなことだし、軽めに自殺行為だ。そこまでマゾじゃないぞ・・・と思ってみたり、「熱したものを冷やす」行為に人間は鉄じゃないんだぞ?と思ったりもした。
要するにサウナは我慢比べをする場所だとばかり思っていた。
爆音列島で主人公が「族族大集会」の企画を綾瀬っていう奴に持ちかけにいった場所がサウナだった。我慢比べに耐えきり、無茶な企画を通すための場所・・・という謎のイメージを若い頃に植え付けられたのがいけなかったのか?w
とにかくほんの二か月前までのサウナのイメージはそれほどよくなかった、むしろ最悪だったと言っていい。
それがなぜ今や週2ペースくらいで通うようになってしまったのか??
そもそもなぜあの日、あの場所でサウナに入ろうと思ったのか?
その日を振り返る。
りんくうの湯
2019年ラスト車中泊Day1の夜の話。
あの夜に「りんくうの湯」に行ったのはまったくの偶然というか思いつきだった。
1つめの偶然がまずこの立地の良さにあった。
立地からわかるように関西国際空港の対岸にある「りんくうの湯」はその立地条件のよさからもわかるように関空から飛び立つ人や関空に降り立った人が文字通り羽休めをする場所としては最適な位置にある。
レバノンかどこかへ旅立った老人も、ここのサウナで最後に汗を流したやもしれんね?
駐車場代が絶望的に高いという印象しかない関西においても「りんくうの湯」はその施設を利用すれば5時間まで無料になるサービス付きだった。
https://rinkunoyu.jp/riyou.html
この好立地でありながらも620円という圧倒的コスパの良さ。地元草加の竜泉寺の湯だって750円だし、その竜泉寺の朝風呂の680円よりも遥かに安い。確かにタオルがつかないが、そんなものはもっていけばいいだけの話で、ただ車中泊前に汗を流したいだけの自分にとってはこの価格が魅力でしかなく、また関空に遊びに行くにしても連絡橋をプジョーで渡ることを考えると、りんくうの湯の駐車場に車を停めて電車で移動したほうが安上がりだったのでここに来た。
よくあるスーパー銭湯風のこの場所で、もう寒いし、眠いしだった自分はとにかく湯船につかりまったりしていた。
そこそこ温まりそろそろ出ようかと脱衣所に向かうそこでふとサウナが目に留まった。
普段なら素通りするサウナ、なぜ目に留まったかと言えば、この車中泊に出かける前に、京都まで運んだ友人が時間があれば京都に行く前に「しきじ」に行こうと提案していたことがあったからだ。
そいつがサウナを提案すること自体、もう7年以上の付き合いになるがはじめてだったし、LINEで連絡をもらったときも「なんだこいつ、俺と裸の付き合いしたいのか?」くらいにしか思わなかった(最低だ)。
会話の中で送られてきたこの方のツィートも印象深かった。
(1/6)夏ごろからサウナに行き始めたビギナーが描いてみた入門レポマンガです。コミティアでコピー本にして頒布しますが、内容はここに載せるのでほぼ全部です! pic.twitter.com/d5uUjyfNrY
— ペル (@P_E_L_L) 2019年11月23日
サウナになんか微塵の興味もなかったが、送られてきたものには目を通す主義なので一通り読んで「え、でもサウナでしょwww熱いだけやん?」と懐疑的な目で読みつつも、気になっていないわけではなかった。
だから頭の中にサウナという単語が残っていたんだ、これが2つめの偶然。
サウナへ入る覚悟
小心者の自分としてはそれでもサウナは死にに行く場所であることには変わりない。
ただでさえ熱さに弱い自分が、わざわざなんで熱い場所に行くのか?
漫画で書かれていた「しきじ」での出来事だって大げさやろ?トリップってなんやねん!大げさやろwwwwと思いつつ(「しきじ」は感動したよ、念の為)短時間で出ればいいやろ?くらいのノリでサウナ室の扉を開けた。
当然ながらサウナのルールやマナー、1セットの作法も当時は知らない。
そもそもサウナに何分いるべきなのかとか、自分の限界を量るやり方にも無知だ。
温度や時間を見る癖もなかったから、あとから調べてみると室温は90℃くらいだったようで、とにかく当時の自分は、
「熱い」
そればかりを考えていた。
じんわり出てくる汗、やはりサウナは辛い。これでトリップとか頭おかしいだろ?水風呂?心臓止まって死ぬわとじりじりと肌に暑さを感じながら考えていた。
適当な時間になってサウナ室を出て、水風呂は怖くてやっぱり入れない。
シャワーで汗を流して、露天スペースに出て涼んでいたら、どうだろう・・・
あれ、なんか気持ちいい??
ととのうを知る
友達が紹介してくれたあのツイッターの漫画をおもだした。
体が持ち上がり空に飛んでいくような感覚、それが「ととのう」という感覚だったのか、あのときはわからなかったし、いまもよく思い出せないけど、寒いはずの外気にあたることが気持ちよく感じられる。
目を開けてぼーっと空を眺めていると、10km先の関空に離発着する飛行機のジェットエンジンの音がクリアに聞こえた気がした。
今はサウナ→水風呂→外気浴のローテを知っているからそれなりにととのいまでの順路を適切に歩めるけど、当時は知らない。それでもととのいに達することができたのは激しい寒暖差を体に与えることはできたからじゃないのかなと思われる。
拷問のような熱さのことなど頭から消えて、圧倒的な気持ちよさだけが残った。
サウナを出て、車に戻る途中、普通なら湯冷めをしないように厚着をするがいつまでも体が火照っていて上着もいらない。
プジョーに乗り込み窓とサンルーフを全開にする。
なんだこれ、夜風がものすごく気持ちいい。
パノラミックサンルーフはもともとプジョーにとって必要なOPだからと付けただけだったが、このサウナ後のサンルーフオープンの時間はとんでもなく気持ちがよく、一気に身体が眠りに誘われる。
追い外気浴、追いととのい、それが楽しめるのはサンルーフだと思った。
車中泊でもわりと寝れる方だけど、寝付きやすいかは話が別でやっぱり冬場ということもあり寝袋に包まっても熟睡までは程遠い(どんなに長距離を運転しても)がこの日は一瞬で落ちた。そして翌朝の目覚めも快適だった。
あとあと「りんくうの湯」で感じたサウナ後の感覚を調べてみるとサウナは実は健康的なものだと知った。外気浴で感じたあの気持よさももしかするとととのいだったのかと思えるようになった。
それが自分のファーストサウナの思い出だ。
そして出会う、聖地絶対王者「しきじ」
関西から帰ってきて、2度目のサウナは聖地「しきじ」となった。
「りんくうの湯」で何の気なしに入ったサウナがあれだけ気持ちよかったのだ、聖地「しきじ」に行ったらどうなるのか?水風呂は相変わらず怖いものの、水が売りの「しきじ」で自分はどうなっちゃうのか?気にならないわけがない。なにより静岡はドライブにはちょうどいい距離だ。
とはいえ思い返せば2度目のサウナが聖地というのは何という贅沢なことか・・・。
今の毎週のようにサウナに行かないと心が落ち着かない中毒的な状態にさせてくれたのは紛れもなく「しきじ」だったが、その「しきじ」まで足を運ばせるきっかけとなった「りんくうの湯」へは大変な感謝をしている。
いつかリベンジサウナ・・・お礼参りサウナを「りんくうの湯」へしに行きたい。
ありがとう「りんくうの湯」!自分にとってはあそこが生まれ故郷のようなものだ。