北欧生まれのスタイリッシュセダンに想う
サウナ北欧に行って、なんで東京の都市部で「北欧」なのかと考え、その露天スペースでととのう過程で1台のクルマが頭に浮かんできた。北欧が誇る伝統のブランドでもあるボルボのS60だ。
ボルボで上野の北欧に乗り付けたら間違いなく似合う。
3008を購入する段階でボルボXC40も検討したことがあってボルボの魅力はよく知っているつもりだ。なにしろこのXC40で、今までOut of GANCHUだったボルボに一気に引き込まれた。一緒に試乗した人も、いつかはボルボに乗れる人生を送りたいねと賛美するほどにXC40は今までボルボに興味がなかった人を引き付ける何かがあった。
ボルボもといS60は北欧の豊かさを象徴するような1台だと思う。
美しきスカンジナビアデザインは日本車とも他ヨーロッパ車のどれとも違う独特のテイストを持っており、エクステリアだけでも「ボルボを所有することで自分のライフスタイルががらりと変わる」ことを予感させてくれる。
ボルボが生まれたスウェーデンはサウナの故郷フィンランドとはボスニア海を挟んですぐ隣。スウェーデンもサウナは有名な国なので,、ボルボは実質サウナと言い換えることができる、そういうクルマ。
では、そんなボルボとサウナは合うのか?
それを知りたくてボルボのディーラーに試乗を申し込んだ。
ちなみにサ活カーについてはこちらを参照☆
サ活にぴったりなクルマをマジメに考える。 - ぴよこ☆くらふと☆わ〜くす。
セダンは豊かさの象徴となる
S60は2018年にシリーズ3代目となり2019年終わりに日本でも導入。セダン不況の日本国内において、S60がどれだけの台数売れるのかは正直わからないというのは素人目の率直な意見。
それでも自分がS60に抱いた気持ちはまさに一目惚れだった。
セダンはスタイリングがいい。
エンジンルーム・乗員スペース・荷室が機能ごとに分割されているそれはサウナ・水風呂・外気浴スペースのそれとまるで同じ。それぞれの機能が明快だ。
利便性を考えればSUVやミニバンに軍配があがる。そんな中であえてS60を選ぶことは自らの生活が豊かであることを誇示するためではないかと思う。
無駄に広い室内空間も、オフロードを走らないのに高い車高も必要ない。多人数乗車をする機会があるならミニバンでもレンタルをすればいい。
だったら普段のクルマはセダンでいいじゃないか。
ボルボに乗るということ
あなたはなぜボルボに乗るのですか?そう問われたとき、自分はなんと答えるだろう。試乗車の「T5」を見たときボルボは美しい、この美しいスカンジナビアデザインを持つカーで、上野の北欧に行きたいからと思った。
しかし、試乗車・・・ナンバー508!
間違いなくサウナでネタになる話題を提供してくれたディーラーさんのセンスに脱帽。そしてこれはディーラーの「我々はフランス車になど負けない。スカンジナビアセダンの実力を思い知れパリ公」という無言のアピールに違いないとさえ思った、負けたよ。
S60にはガソリンエンジンの「T4」、「T5」、PHVの「T6」の3種類がある。
T6は高額だしPHV自体がそこまで売れるイメージもないのでメインは「T4」と「T5」になるだろうけどエンジンはどちらも同じ2リッター直列4気筒エンジンだ。チューニングを変え、「T4」は街乗りで扱いやすい特性を、「T5」は高速道路でもストレスなく走れるようにしているという。
ところで普通にサラリーマンをしていると、暗黙のルールで上司よりもいいクルマには乗れない。物理的に乗ることは可能でも、心理的なハードルが高く、その会社で出世したいのであれば忖度する必要がある。30代後半とはいえ自分のような平社員が「アウディ買ったんですよwww」なんて言おうものならプロモーションで契約社員まで降格にさせられる可能性だってあるし、そうでなくとも出世してもアソシエイトからシニアアソシエイトとまりだろうなと予感させられる。ところがボルボであれば「お、こいつはサウナが好きなんだな」と相手に思わせることができ、大体企業の上席はサウナーだからそこから会話が盛り上がり「サウナ愛好家=将来有望」と判断され二階級特進でマネージャーまで一気に昇進できる可能性が出てくるはずだ。
ボルボ=サウナ=安心・安全というのは実に繋がりやすいイメージ。
ボルボに乗っているというだけでその人柄は察することができ、まず付き合って間違いない人と言える。もし彼氏・彼女がボルボに乗っている人だったらその性格はまず安心していいと言える。
「T4」だって諸経費を含めれば600万円手前の高額車であり決して安くはないのだけれどそこが日本人のもつブランドイメージの差だ。メルセデスやアウディ、BMWなどは無意識に相手に「凄いブランドに乗っている」と錯覚させられるが、ボルボならそうはならず、安心・安全に気を使うサウナ好きな人と思われる。
そういうイメージのクルマにこのエンジンは合っている。
ドイツ車のように無駄に300馬力も400馬力もあるわけではなく、あくまで実用域での乗りやすさを狙っているセッティングなのでとてもS60で高速道路を200km/hで走ろうと言う気になれない。
標準装備のハーマンカードンから森の音でも流しゆったり流すのがS60の乗り方だと思う。なんなら1mたりとも動かなくてもいい、乗った瞬間に目的地についた錯覚すら起こせる。
ドアを開けると飛び込んでくるインテリアに心が休まる。
サウナ室の扉を開けたとき、まずシートレイアウトを確認する。どこに人が座っているのか、ストーブはどこなのか、TVの有無、予め調べていくとはいえ実際のサウナを見たときにその内部をじっくりと確認するはずだが、そういう気持ちになる。
せかせか乗り込むのは似合わない。「失礼します」とサウナで見知らぬおっさんの隣に座るときのような気持ちで着座、タオルの位置を治すかのようにシートとステアリングのポジションをあわせる。
両手をステアリング添えた瞬間、ため息が漏れてしまう。
この空間は落ち着く。
心が無になる空間、プラミアムだけが持つ上質な時間を予想させる。
ここはクルマじゃない、暖炉がある北欧住宅だ。
「おかえり」と「ただいま」の声が聞こえてくる優しい空間がそこに広がっている。
「T4」と「T5」はシフトレバーがオーソドックスなゲート式で、電気式の味気ないスイッチに慣れてしまうと左手に力を込めて手前にスライドさせていく動作がなんとも心地良い。セルフロウリュがなんのためにあるのかわからない、オートロウリュでやれよって人はそんなにいないと思うけど、ロウリュする楽しみ、聞こえる音を耳で楽しむようにシフトレバーもゲート式が伝えてくれるわずかなインフォメーション心地よく感じる瞬間が訪れる。
それにしてもレトロやプレミアムをうまくバランスさせている。
メーターはデジタルながら計器類は基本は2眼の速度・回転計のオーソドックスな組み合わせだ。右側だけはECOモードで表示が変わるが、大きく意匠を変更しないあたりが一番目に触れるメーターだから必要な情報はすべて見せよう、それが安心・安全に寄与するとボルボは考えているに違いない。
ボルボの特徴はiPadと見間違うほどのセンターディスプレイ。ここに空調などをすべて収めてしまう。めったに操作しないもの、見なくていいものはセンターディスプレイへ、よく目に入れる必要があるものはメインの運転席前のディスプレイと明確に表示を分けているのもボルボらしい。このへんはデザインは優れているが実用面では少し機能が足りていないプジョー3008以降のプジョーも見習うべきだと思った。
収納が多いことも魅力だが、ドリンクホルダーがシフトレバーに添える腕に当たらない位置におけるのもいい。
安全であることと利便性の両立、ボルボの哲学は徹底しているなぁと思わされる。
サウナに行くために疲れてはならない
サウナに行くためのドライブで疲れては意味がない。また、サウナ帰りの道で疲労を感じてしまうのも意味がない。
サ活カーに求められる最重要要件は「疲れないこと」に尽きる。
北欧生まれのボルボは当然スウェーデンからフィンランドまでサウナに行くための顧客も多いだろう、というかみんなヘルシンキくらいまでクルマで移動するんじゃないか?
ストックホルムからヘルシンキのロウリュまではおよそ1800km、Google先生によれば20時間の旅になるからボルボはそれに当たり前に耐える性能が要求されている。サウナに到達できないクルマは北欧では売れないし、売ってはならない暗黙のルールがある(ウソデス)。
スウェーデンはヘラジカが車に突っ込んでくるアグレッシブなイベントがあるようで、それによりヘルシンキのサウナまで到達できなくなることもある。
ボルボは人身事故ゼロを目指す、言い換えれサウナ到達率100%を目指して日頃安全なクルマを研究・開発・販売している真摯であり、紳士のブランドだ。
安全のためにはドライバーが疲れないことも大切。
ボルボのドライビングポジションは秀逸で、日本人の体形にもよく合う。輸入車の右ハンドルでここまで大柄なフットレストを備えているクルマもなかなか見ない。ペダルレイアウトも、シートやステアリングの調整幅も適切。これが適切でなく、違和感があるととてもじゃないが1800kmの距離は走れない。
違和感のなさはそれだけじゃない。あまりに自然で感想に書くことを忘れそうだけどブレーキのタッチがいい。踏めば踏んだだけリニアに効くブレーキは、当たり前に使ってしまっているけど実に凄いこと。欧州車はどうしても高速域での効きとタッチを優先しがちで市街地では扱いづらいところがあるけれどボルボにはXC40も含めてそれがない。
あまりに自然だ。価格は700万円もするが、あまりに自然に気負わずに乗れる。誰でも当たり前に運転できてしまう自然なフィールはまるで北欧の豊かな自然のようだ。
疲れて集中力を失った瞬間にヘラジカに突っ込んでしまい、サウナー人生が終了する。サウナに入るために死んではならない。その絶対的な約束を守る、守らせてくれるボルボはやはり優れたブランドだ。
何よりシートが優れていて、これなら1800kmだって走れるんだろうと思うような腰への負担の少なさ。サウナ後にマッサージ機能をONにして乗り込んだら確実に寝てしまう・・・危ないじゃないか?
なーに、ボルボはサ活にぴったりなクルマだ、そこは抜かりない。
ととのいを知る
S60だけではないが、ボルボはパノラマガラスルーフをOPで用意している。
ととのい後の追いととのいにはサンルーフをオープンにすればいい。
後部座席に人が乗っているときにこそガラスルーフは最高だと知っているプジョー乗りとしては、絶対に必要な装備としてガラスルーフを推奨する。仮にABSかガラスルーフかどちらかを選べと言われたら確実にガラスルーフを選んでしまう。
前席だけでなく後席も座り心地はよく、むしろ運転せずに寝ていたい(ぉ
後部座席の空調はお洒落なデザインだ。
足元空間にもゆとりがあり、大人四人でも平気そう。
何より後部座席から見上げる空は最高だろう。ガラスルーフは後部座席の住人に極上の時間を与えてくれるが、ドライバーは追いととのいをするためにルーフを開けることもできる。
仮眠を前提としないなら後部座席はドラマ「サ道」の北欧の休憩スペースのような反省会をする場所に近いイメージかもしれない。男四人でサウナ旅、最高かよ。
眠くなったら無理をする必要はない。
ボルボは無理してまでサウナに入ることをよしとしないブランドだから、ヘルシンキからノンストップでストックホルムまで帰るようなことは強制しない。これがドイツ車であれば、北欧の道を200km/hオーバーでぶっ飛ばして10時間で帰れになるかもしれないが、そういう奴はたぶんヘラジカに殺される。
眠くなったら後部座席を倒して眠ればいい、S60はそれができるセダンだ。
ととのいベッドがそこに広がり、S60が両手を広げて待っている。
適度な広さのクルマで車中泊をしたほうが落ち着く。S60はセダンなので絶対的な広さはないが、たとえばサウナ後にカップルが眠るにはいい。なにしろガラスルーフだ。北欧の夜空をサウナ後に見る喜びを知っているブランドが送り出すそのガラスルーフを付けない理由があるか?いや、無い。フィンランドの幸福度が高いのは、お隣スウェーデンのボルボを買う人がそれなりにいて、ガラスルーフでサウナ後の至極の時間を愉しめているからだと思う。
そんなガラスルーフは40万円のオプション。
営業に「ガラスルーフはいらないと思います」と見積もりから省かれそうになって、ちょ待てよ!!(キムタク風)と思わず声を荒げてしまった。
ディーラーオプションや用品カタログにヴィヒタがないことも気になったが、ガラスルーフは必着でもいい。そもそも試乗車や展示車のT5には当たり前に装着されていたしボルボもガラスルーフはサウナーにとって必要だと思っている。多分、担当してくれた営業さんはサウナがあまり好きではないのかもしれないけど、サウナにハマればガラスルーフをおすすめしないなんて愚行はしない。
サウナが好きな冒険者たちへ
なぜガラスルーフが必須のクルマからガラスルーフを取るのか?
確かにガラスルーフは「T5」以上のグレードにしかつけられず、そうなると総額は700万円に届く高級車にはなってしまうので販社としては売りづらいという事情があるかもしれない。
もし自分が営業なのであれば、まずボルボを買う人はサウナが好きだと定義し、もしサウナが嫌いなら接客の大半はサウナの魅力を話、サウナへの理解を深めていただいたうえで「T5」にパノラマガラスルーフオプションを付けていただく。
ガラスルーフは夏場は暑い、日本には不向きだと毛嫌いする人もいる。
実際はシェードを閉めればそこまで暑くはないし、シェードを開けていてもそれほど暑いとは感じない。むしろどんだけエアコンが効かないクルマにお乗りなんだろうか?と悲しい目になってしまう。実際、昨年の夏の名古屋で40度近い炎天下をガラスルーフで走ったけれどエアコンがあれば暑さはそこまででもなかった。
そんな理由のためだけにガラスルーフを諦める?サウナはもっと熱いのだ。
人生にはサウナよりも大切なものがある
ボルボの時点でサウナに行くためのクルマとして似つかわしくないということはまずありえない。北欧のクルマがサウナに不適合であればそもそも販売できないし、いくら日本のサウナが独自の進化を遂げたサウナとはいえ本場フィンランドを意識している以上はどこのサウナも基本的にボルボは似合う。
日本のサウナに合うサイズもいい。1850mmという車幅は日本側が強く要望して叶えられたサイズでこれなら立体駐車場にも入る。物理的に入るかどうかよりも日本の場合は1860mmと車検証に記載された時点で車庫証明が降りない罠。
S60を30分ほど試乗をさせていただいて、自分は「このまま大阪大東洋まで走っていきたい」という感想を抱いた。
ボルボなのに熊本湯らっくすではないのか?という疑問はもちろん理解できる。
単純に今の自分がかけられるコストでは大東洋が限界という切実なお財布事情がある。
ボルボはディーゼルを日本で売らなくなった。
その代わりにT6でPHVモデルをリリースした。
ガソリンエンジンはハイオクを必要とし、街乗りでは10km/L以下、高速でも12km/L程度だろうとのこと。
だとすれば満タンで行ける距離は大阪くらいが限界だ。
オール高速で12kmを叩き出せても660kmなので神戸サウナあたりが関の山。実際はそこまで理想的な燃費を叩き出せるわけでもないと思うので大東洋あたりで我慢しておく方がいい。
やはり1700kg近い前輪駆動車というのは燃費にメリットがあるものではないし、ディーゼルが搭載されないのも辛い。もちろんガソリンを気にする人が乗るクルマでもないと思うので人によってはストックホルムからヘルシンキまでの1800kmを走り切れるだろうボルボの性能で余裕の湯らっくすも可能だと思う。
長距離は間違いなく完璧だが、燃料の心理的ハードルが自分には大きい。
サウナにお金は落としたいが、交通費は安く抑えたいからね(´;ω;`)ブワッ
自分がS60に買ったら北欧の前で撮影をするだろう。かなり似合っている。
ボルボを所有できるというのはそれだけでゆとりのある生活を連想させてくれる。日本は今や豊かな国とは言えないし、仕事で終われ辛い生活を強いられることが多い。そんな日本だからこそ、ボルボに乗ることで得られるゆたかな時間、至極の時を求めるんじゃなかろうか?
月に1度はフィンランドに行ってもいい。
だけど、日本の道をボルボで走り遠方のサウナに行くことだって十分心にゆとりを与えてくれる素敵な時間になるのではないか?
ボルボS60は控えめに言ってもととのう素晴らしい1台でした。