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PEUGEOT3008 | Honda X-ADV(2021) | Kawasaki Z H2(2021)で主にツーリングに行ったりしているブログです。

サプライズ

4月はどこの会社も異動シーズンだ。

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弊社の場合ももれなく4月が異動シーズン、退職も異動も相応に出る。

 

彼女の異動が決まったのはもう数カ月も前で、随分長いなぁと思った。

 

春から同じチームで斜め前の席で働く、その現実はあっという間に訪れた。

 

異動してくる彼女のそれまでのチームでの最終日、半休を取得して会いに行った。

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先日作ったハンカチを片手に。

piyoco-craft-works.hateblo.jp

サプライズは苦手だ。既婚者だったら得意に違いないなんて、そんなのは幻想だ。

 

クリスマスにも誕生日にも一切のサプライズを演出しないのが自分だ。

 

特にプレゼントというのは難しい。好みは人それぞれ違うだろうし、ゴキブリが好きな人にブラックバスのサンダルをプレゼントしたって絶対に喜ばれない。

相手がゴキブリ好きだと知っていれば、当然最初からそれをプレゼントするが、人間の趣味を100%理解するのは難しいというお話。ならば相手に直接欲しいものを聞いて、それをプレゼントするほうがいい。

 

だが、これはある意味での実験だ。

 

過去経験のないことを彼女を通じて経験する。30を超えて尚、人生における学びはあるのだと理解するための実験。サプライズもその一環だった。

 

勤務を終えた彼女と合流し、千葉から一気に神奈川まで500Xを走らせる。

 

 

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tsukikoya.com

いつもの喫茶店で異動のお祝いをする。都内で誰に会うかわからない状態でドキドキするよりかはいっそ誰も来ないだろう場所に行くのが一番だ。勤務後に追浜まで来るような社員は少なくとも弊社にはいない(そりゃそうだろ)

 

 

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隠れ家というのはこのお店のような場所を言うんだろうなぁといつも思う。

 

何度来ても、500Xが無傷で帰れることを奇跡だと思うほどの狭路。

 

そこを抜けた先にある喫茶店は同行者の気分を嫌でも高まらせる。

 

夜景だってそこそこ綺麗で、遠くにシーパラが見えるのも素敵だ。

 

 

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ぼくらの間ではここは「遭難喫茶」で通じる。

 

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特に予約をしているわけではないので適当に食事をとる。

 

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ここに来る前に珈琲を飲めない状況に陥ったので今日はおとなしくジュースだ。

 

彼女はラテだ。

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ここに来て珈琲を飲まないのは二年くらい通っているが初めてだ。

 

そりゃそうだ、喫茶店で珈琲を飲まないのは邪道だと思っているから。

 

 

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珈琲の味も当然だが、ここは食事も美味い。

 

道中の雰囲気、お店の雰囲気、味、すべてが隠れたデートにちょうどいい。

 

 

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食後にケーキまで食べて満足。

 

 

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食事を終えると時間は22時を過ぎていた。

 

そのまま彼女を送ると見せかけて首都高を開通したばかりの10号晴海で降りる。

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向かったのは豊海水産埠頭。

 

www.tripadvisor.jp

 

車があれば着やすいが、そうでなければ先ずこないだろう。それでもここの夜景はもう何年、何十年前から有名だ。ぼくがはじめてきたのは23歳のときだったかな・・・。Z33でここにきて写真を撮るのが好きだった。

青島文化教材社 1/24 ザ・モデルカーシリーズ No.33 ニッサン Z33フェアレディZ バージョンST 2007年 プラモデル
 

サプライズのスポットにここを選んだことに特に理由はない。

 

都内だったら夜景なんてどこでもそれなりに綺麗だから。

東京夜景 (1)

東京夜景 (1)

 

人工的に作られた夜景はこの街ではどこでも平均点以上の美しさがある。

 

首都高を走っているだけでも普段車に乗らない彼女を感動させるだけの夜景はある。

 

それでもこの場所を選んだのは偶然じゃない、ただの必然。

 

ぼくはこの場所でプロポーズをしたことがあるって、ただそれだけの理由。

 

もう二度とすることもないだろうし、そんなことは面倒だ。だけど、サプライズにこの場所を選びたいと思ったのはそういう過去があってのことなんだろうと思う。気持ちに整理をつけるって意味でもね。

 

夜景を眺めて車に戻って後部座席にコートを戻すふりをして運転席に戻る。

 

「2年間、お疲れ様でした」

 

 

 

 

 

 

 

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用意した花とハンカチを渡す。

 

突然のことで、サプライズなんてこれっぽっちもぼくに期待していない彼女はその瞬間に号泣だったが、それは嬉しさというよりもやっぱり二年間”現場”という過酷な場所で耐え抜いたことの終わりを、無事に迎えられたって安心感じゃないかと思う。

 

順風満帆にキラキラした”現場”でその企業人生を終える人もいる。

 

けれど、彼女はそうじゃなかった。

 

夜景のようにキラキラと人工的な明かりの中では生きられない。

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ばか正直で、自分を演じられず鬱になったこともあった。

 

ぼくはその彼女を見捨てられなかった。それは自分の失敗もある。

 

なんで今のしごとに自分が甘んじているのかって、ぼくは人の気持ちがわからない人だから。前の仕事で自分に生きることを相談した人をたすけられず、その心を死なせてしまったから。だからもうそういう人を生み出したくないって、自分の生活を壊してまでいまの働き方を選んだ。

 

全部は助けられないけれど、少なくとも目の前の彼女が涙を流し、異動を受け入れてくれたことでなんだかすべてが報われた気がした。

 

サプライズは相変わらず苦手だけれど、心の底から誰かが喜んでくれる、その瞬間を目にできるのであれば、そんな生活も悪くないって、そう思える一日だった。