JEEP Renegadeには以前試乗しました。
Renegadeが持つ雰囲気、お洒落なスタイル、あれほどに購入後のライフスタイルをイメージできるクルマもないというくらい、少なくともあのときの自分にとっては大変魅力的で独身なら即決しただろうというくらいに惚れています。
クルマ選びも佳境なわけで、ぼくとしては前回のRenegadeで決める気満々だったものの嫁さんからのOKが出なかった。
・運転がぎくしゃくしすぎて酔う
・JEEPはWranglerしか認められない。
・内装がおもちゃみたい
女性の意見は貴重です。嫁さんはもともと考古学をやっていた人間で、大学の教授が三菱のジープに乗っていたそうで彼女の中ではインディー・ジョーンズ的なものこそがJEEPなのだと思っているらしい。
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あのようなジープはむしろ男性が好みそうなものだけど、我が家ではその辺が逆でぼくはRenegadeのポップさに惚れ、嫁さんはWranglerに惚れている。
なので即決とはいかなかった今、もうCX-5かアウトランダーPHEVに決めればいいのでは??という話にもなっていた、が。
確かぼくがネットでRenegadeを見て嫁さんに魅力を説いていたときに兄弟車でFIAT500Xがあるということを教え、彼女はそのスタイルに惚れたらしい。
一度お店で実物を見たけど彼女はやっぱり惚れていて、でも基本コンポーネントはRenegadeと同じであるならばFWDモデルに存在したカックンブレーキとDCTのフィーリングは共通のはずだ。実際評価を見ていても自分がRenegadeで感じたことは引き継がれているようなので、であればFWDモデルを試乗しても意味が無い。
そしてなにより嫁さんは500Xを4WDモデル、クロスプラスのデザインに惚れていた。
バンパーガード?的なものが付いているスタイルがいいってのもやっぱ少し女性目線としては変わっている気がしないでもないけれど、まぁとにかくFWDモデルを試乗するのは時間の無駄だし、Renegadeでは用意できなかった(その当時)4WDモデルも用意できるとのことだったので日を改めて訪問させていただいた。
JEEPでRenegadeを見た時は小さい車という印象が強かったが、FIATで500Xを見た第一印象はでかい車だった。
なぜならRenegadeはJEEPブランドでは最小になるモデルで、それまで最小だったcompassに比べても少しだけ小さい。またディーラーでは周りがWranglerばかりであの巨体に挟まれたRenegadeは如何にもベイビージープで赤子同然の小柄さだった。またそのサイズ感がRenegadeの魅力でもあるのだけど。
逆にFIATにおける500Xは日本国内ではFIAT最大級のサイズになる。
同じブランド名を持つ500(チンクエチェント)とくらべても一回り以上でかい。MINIのONEとCROSSOVERのサイズ感よりもずっとその差は大きく、ディーラーではチンクエチェントの隣に500Xがあったことで余計に500Xの大きさは際立つものとなった。
でも実際のサイズはマツダのCX-3に近い。
http://www.mazda.co.jp/cars/cx-3/
CX-3のサイズを見て巨大な車だという人はまずいないと思う。マツダCXブランドでは最小でCX-5を我々が見に行ったときCX-3では小さすぎるねと言ったほどに小さい。
そもそもそのサイズで我が家は大丈夫なのか?という話にもなってくるのだけど、かなりの期間多くのクルマを試乗してきて大は小を兼ねるではなく、小さいクルマを工夫して使えば案外それでいいのではないか?という結論が出たことで選べるクルマの幅が広がった。
なんだかんだでクルマを買うのが2016年頭と考えれば息子は来年で2歳。荷物を沢山積むからラゲッジは広いほうがいいという大前提はあったけど、いま一番かさばっているのはベビーカー。
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既にひとりで歩きまわり、ベビーカーを拒絶するようになっているしベビーカーも終了なんじゃないか?という現実を考えると実はそこまで荷室はいらない?って話にもなってくる。
それにSUVであればルーフボックスも特に違和感はないからね、載せたらいい。
割りと動きまわって思うのはどこの施設にも子供を載せて動けるキャリア?的なものがあるので別にベビーカーを持ち歩かなくてもいいって話もある。日本に生まれ育ってそこは本当によかったなぁ…
さすがに第一子の育児なので勝手が分からず、クルマ選びにも迷いが生じているのが出まくってますね!
ディーラーに展示されているチンクエチェント、パンダ、500X。やっぱり背の高い500Xは威圧感もそれなりにある。FWDモデルのポップスターはバンパーのデザインなども違い最低地上高も低めなので威圧感はそれほどでもないかな??
実車を眺めて嫁さんはやっぱりベタ惚れだったし、彼女はクロスプラスの内装がお気に入りらしい。
不要な人もいるかもしれないけれどクロスプラスではブラウンレザーのシートが標準で、落ち着いた色合いが好きな彼女はこの内装でもキュンとしたらしい。なんだよ、キュンって…
FWDモデルになると内装の雰囲気もがらりと変わるけれど写真にあるクロスプラスは値段も300万円を越える最上級モデルなので大人の雰囲気を狙っているのかもしれない?兄弟のRenegadeとくらべてもあちらは若々しさがあるけれど、こちらは落ち着きがありスタイルもさることながら乗る年齢層も変わってくるような気さえする。心が子供なら断然Renegadeだ(ぉ
基本はRenegadeと同様ながらパネルの造形などでうまく雰囲気を変えているね。
Renegadeの遊びココロあふれた内装に比べると500Xはイタリアンデザインといえる落ち着いたものを採用する。Renegadeの面白いTFT液晶も500Xではチンクエチェントをイメージしたデザインになっていた。
名前があくまでチンクエチェントと付くので雰囲気を似せるのは当然だけど、こちらはSUVらしさも求めたデザインなんだろうね。この辺のデザインもぼくはRenegadeの方が好みだけれど、嫁さんは落ち着いた500Xが好きだと言う。夫婦で正反対のことばかりいうなぁ…我が家はw
Renegadeを試乗したときにも書いたけれど
Renegadeは本国仕様のメータが左タコメータ、右スピードメータなので日本仕様でそのまま左ハンドル→右ハンドル化でメータを持ってきた時に日本仕様では左側がタコになるため視線移動が少なくタコメータが見やすいという謎の利点があったけれど、500Xだと右タコなので少し見づらい。とはいえAT車だし、そこまでタコを意識することがあるかと言われたら当然ない。好みの問題だけど、なんで兄弟車でここが逆なのかよくわからないwメータだって共通部品を使って作ればデザインは変えてもタコとスピードの配線基板を逆にすることはコスト的にも意味がない気がする。大人の事情があるのかも??
使い勝手はRenegade同様に悪くなく、日本車からの乗り換えでも違和感なく使えると感じ、この辺はさすが考えてだしたSUVモデルなだけはあるなと…
ドリンクホルダの容量もゆとりがあるし、ドアにも付いているのでフロントだけで4つ。これは地味に嬉しい。典型的なB型男のぼくは空き缶を捨てずにクルマに放置プレイする。エボもフロント純正2つにエアコンの吹き出し口にも2つ装着しているがつねに空き缶で埋まっている。捨てろ?面倒なんだよね…
置き場があることはいいことだ。フランス車は1つ付いてれば良いほう(これは現地のルール的にも仕方ないんだけども)なのでイタリアンSUVはなかなかどうして勝手が良い。
アームレストのサイズもたっぷりで身体を預けられるほど。前に引き出せたりするし、これはなかなか気に入った。
AT車なのでアームレストは必須だと考えています。
輸入車を観るときに気にするところとしてはフットレストの有無とサイズ。
長時間のドライブではこれがあるかないかで疲労感が変わってくるってほどにフットレストは大切だって思っているけれど、500Xはサイズは少し小さめだけど位置的には悪く無い。チンクエチェントは社外品で拡張されたフットレストが出ているけれど、500Xにもそういうものが出てくれると嬉しい。アフターパーツメーカーさんよろしくねなのかも??
ラゲッジ容量は350L。
スモールクラスSUVとしては普通の容量。ただしアンダーボックスがない、スペアタイヤを搭載しているモデルなのでその辺で容量を求めるときに厳しいかもしれない。直線基調デザインのRenegadeに比べれば曲線デザインの500Xでは最大容量が変わるのは致し方無いかな…
後部座席の足元スペースもスモールクラスとしては平均的なのかな。
極端に広いわけじゃないけど狭いわけでもない。全長が決められているサイズの中で荷室と後部座席のバランスを取ればこの辺が妥当だろう。エボの後部座席足元空間が広すぎるって話でもあるのでエボ乗りからすると狭い。
嫁さんはチンクエチェントとの対比で500Xは相当でかくアウトランダーくらいあるものだと思っていたそうだけど、ランサーより小さいよって話をすると驚いていた。
肝心の1.4Lターボと9ATの組み合わせはどうだろうか。
結論から言えばFWDモデルにあった違和感はなく普通に乗れるクルマになっていた。賛否あろうがオーソドックスなトルコンATにはそれなりにメリットがあるし渋滞の多い日本の道路事情を考えればDCTやMTAよりもトルコンATの方がぼくは好きだ。
ただ9速もATが必要なのかはよくわからない。
動画では100km/hで7速だと言っている。Renegadeと同じトランスミッションを使い、あちらはジープアクティブローという1速ギアでとろとろ走れる機能があるそうだけど、このATは基本2速発進らしい。トラックか?
日本製のできのいいATを知るとZF社のトランスミッションはまだまだだなぁと思うことはあれど普通に乗っていて特段不満があるわけじゃない。変速ショックだって許容範囲内。
RenegadeのFWDモデルで感じたブレーキの違和感も4WDでは無くなっている。すべてにおいて扱いやすい普通のクルマで、この普通さが嬉しい。
Renegadeにはなかったドライブムードセレクタが搭載されるのも500Xだ。
※Renegadeには4WDモデルに4WD走行モード切り替え機能がある。
AUTOモードでもしっとりした乗り味でSUVということを考えると十分だし、欧州車にありがちな電スロの発進が鈍いとかもあるけれど別にSUVでゼロヨンをやりたいわけじゃない。そういうことをやりたいならJUKE NISMOか魔改造されたJUKE Rをおすすめしたい。
Nissan Juke R beats Bugatti Veyron and Ferrari 599 GTO
JUKE Rが買えるかは別としてね…
500Xで面白いのはスポーツモードを使った時で、伊達にアバルト・アルファロメオに搭載される1.4Lマルチエアターボを搭載していないと感じさせられる瞬間。ブーストアップボタンではなくスポーツモードになるとパワステのアシスト量も減りぐっと重くなり、電スロのレスポンスもあがりちょっと踏んだだけで元気に加速する。排気音も勇ましくなり、可愛らしい見た目の500Xなのにサウンドはイタリアンサウンドとも言える快音になる。
思わず「なんじゃこりゃw」と笑ってしまったほどに気持ちがいい。
Renegadeとは違いパドルシフトも搭載されているので(パドルの大きさが使いにくいのは別として)スポーティに走らせることも出来る。
SUVとしては硬めの足回りは評価が分かれるだろうけど、ぼくは好みだ。欲を言えば、スポーツモード時に減衰力を自動で変えるようなアクティブサスが搭載されればよいのだろうけど、逆に考えれば複雑な機構を持たない分、故障が少ないとも言い換えられる。イタリア車って故障が不安じゃん?構造はシンプルな方がいい。
FIATとしても初のスモールSUVで、背が高いモデルだ。ロールすることへの不安があってあえて硬い足を採用したのかもしれないけれど、何しろぼくの今のクルマは車高調を入れたランエボで足の硬さはこんなものじゃない。昼食後に乗ると下痢になるようなクルマのオーナーからすれば500Xの足回りは優しい。
バイクでもMVアグスタのブルターレで思ったことは、イタリア車は運転することの楽しさの演出が上手い。絶対的な速さよりもドライバーをその気にさせるギミックが素晴らしく、この500Xもスポーツモードに切り替えると快音になったりなんだかとてもワクワクする。どんなクルマもランエボから乗り換えれば楽しさを感じることは少ないのだけど、この500Xはバカバカしいほどに楽しさの演出が上手い。遊び好きなイタリア人なのかもしれない。
実はこういうムード作りは大切だと思っていて、公道で実際に出せる速度は決まっている。たとえば箱根に出向いて芦ノ湖スカイラインやターンパイクでアホみたいな速度を出すことは合法的には閉鎖しなければ難しい。速度を出すことはイコールで違法行為なんだけど、500Xなら合法的な速度下で楽しさを味わえるのではないだろうか。
SUVなんだし、速さを突き詰めれば当然JUKE Rのような魔改造車両を創れるなら話は別だが限界はある。それであればドライバーが如何に盛り上がれるか?そこが大切ではなかろうかと思うんです。
ネガはどこか?
これはもう基本Renegadeと同じなので…
Uconnectのせいでナビの埋め込みには難儀する。KITも出るようだけど、KITと工賃だけで十数万円になるらしい。そこに2DINナビを含めれば20万円前後になるだろう。カーナビにそこまでお金を払えればいいのだけど、そうでないと純正OPのオンダッシュナビを付けることになる。ポータブルでも性能は問題ないとはいうものの、やはりせっかくスタイリッシュなデザインを持つのだからナビは埋め込めた方がいい。今後の改善に期待したい。
他に自分が特に気になったところはなかった。
FIATの他のラインナップと比べれば先進のシステムを搭載(とはいえ日本車よりは随分と遅れている)しているし、悪く無い。これで不満があるのであればそれはもうどうぞ日本車をお買い求めくださいになる。日本で使うことを前提に最適化されているクルマとイタリアを走ることを前提に作られたクルマを比べるのは部が悪い。
500Xは思っていたよりもずっと面白いクルマだった。
イタリアンSUVというジャンルはこの500Xがはじめてだ。だからこそ様々なところに詰めの甘さや迷いが見られるのも事実だろうけど、はじめての挑戦的モデルでは致し方ないことで、これはもう大切に育てられて徐々によくなることを祈りたい。
チンクエチェントを愛する熱烈なファンや世間の声の多くは500Xがチンクエチェントではないという意見で、それはチンクエチェントがさほど好きではないぼくでも思うところ。これは初のモデルでブランドイメージを創るためにチンクエチェントの名前を冠しただけな気がするし、実際飄々と走るチンクエチェントに比べたら500Xはどっしりしているし雰囲気はまるで違う。デザインが似ているようなだけでクルマとしては別物。でもそこでチンクエチェントではないと頭ごなしに否定せず、このクルマを見ると実にいい。
そもそも500Xの持つ役割を考えてみると、このモデルは新しいFIATユーザを取り込む役割を担う。
チンクエチェントは小さすぎて子持ちの家庭で使うには難儀だ。チンクエチェントで耐えられる家庭もあるだろうけど、我が家は長距離移動が多いし荷物も積む。セカンドカーならありだけどメインカーであのサイズは無理だ。
そうなるとFIATでは現行はパンダしか買えない。
日本でも流行りのジャンルであるSUVを求める層ではFIATにそもそも興味があっても足を運ばないし、FIATに興味がない人はSUVがない時点で足を運ばない。
RENAULTであればキャプチャー。PEUGEOTではあれば3008、2008。あのフォードでさえECOSPORTS、MINIはCROSSOVER、VWはクロスポロetc...各社日本向けにSUVを持ってきているのにFIATだけはない。日本でも人気のあるジャンルなのに小型車のチンクエチェントだけでは今はよくてもジリ貧になってくるだろうし、やっぱり新しい風は必要なんだと思う。
賛否あろうとも500XでSUVを持ってきたことにはやはり効果があると思っていてぼくもこうしてディーラーに足を運んでいる。
そして、他のFIATにも興味を持ち、今やなぜか強烈にアバルトが欲しくなっているほど(ぉ
500XをきっかけにFIATに興味を持ってもらえればメインカーにはならなくてもセカンドカーにFCAのラインナップを選んでもらえるかもしれないというのは意味がある。
大きなクルマメインのJEEPが出すスモールのRenegadeは評価されやすいけど小型車イメージが強いFIATで大きなチンクエチェントが否定されてしまうのはまぁ仕方ないことだとは思うけれど、ぜひともメーカは大切に育てていいクルマにして欲しいですね。
好き嫌いはあると思うけれど、デザインはまぁアレとして運転した感覚はかなり好みです、500X。ランエボ乗りを「おっ」と思わせてくれるSUVって割りとレアなんだよねぇ…うん。
カタログなんかより普通にこのニューカー速報の方が詳しいので気になる人は読んでみてくださいね。
また試乗するときはぜひともFWDと4WDを較べて乗ることをオススメします。
だいぶ雰囲気、違いますよ。