ブルターレ800RRってカタログ値140馬力だけど、実際のところ何馬力でてんの?
「MVアグスタを買って、馬力なんか気にするなよ。そこじゃないだろ、ブランドに惚れてりゃ馬力とかどうでもいいだろ?」
でも気になるじゃん…ほーすぱわー。。。
800ccのバイクに我々は180万円払ったわけですよ? <-ここ重要
MT-09が実馬力110馬力でカタログ値出ていた!という某お店のブログを読んだ自分としては、「2倍の値段払ってるのに、MT-09より馬力低かったら泣くぞ!ってか売るぞ!」と思うのも仕方ないことぢゃないですか…
馬力なんて野暮なことは言わない、ブランドを愛し、車体の美しさとエンジンの官能性を愛でていればそれでよいではないか…それがアグスタのバイクな気がしないでもないのですが、メーカーが出力向上させた最上級グレードとして謳っているのだからその性能が気にならないわけがない。
ブルターレ800RRは2015年販売のモデルだし、これから買う人もいることでしょう。
そんな人が「ブルターレって実際どうなの?」と気になるところにやっぱりエンジン性能ってあると思うんですよ…
なので、後に続く人と、自分を納得させるために…そして、なにより自分と同じようにMT-09に「勝ちたい」と思っている人だっているはず…
なので実際の性能をこの目で確かめてやろうじゃないか。
今回は、そんな試みでございます。
【測定条件】
気温:23℃
気圧:1013hPa
MVアグスタ BRUTALE(ブルターレ)800RR (2015年式)
本国仕様ECUマッピング・マフラー
エンジンマップ:スポーツモード
距離:6,367km
パノリン 4T RACE 10W-50
円陣家至高 CPO-R(チェーンオイル)
円陣家至高 E.G.A (オイル添加剤)
円陣家至高 E.G.S Limited (燃料添加剤)
その他、メーカ純正
パワーチェックを行うのは和光2りんかん
自宅からもほど近く、会社からも近い。何よりパワーチェックを実施している数少ない店舗のうちの1つです。パワーチェックをできるスタッフが限られているようで、なかなか実施日が決まらなかったのですが、やっとこさ。
興味がある人はなるべく余裕をもって予約をとると幸せになれるかもしれませんね☆(ゝω・)v
パワーチェック+A/F測定ありです。
税込み 4.320円
A/F測定なしなら、いくらか安くなりますよ。
測定室前で待機するブルターレちゃん。
いわばバイクの体力測定…保護者としては気にならないわけがない。
「MT-09より低馬力だったらどうしよう…」(´;ω;`)ブワッ
「むしろ100馬力出ていなかったらどうしよう…」(´;ω;`)ブワッ
「測定中に壊れたらどうしよう…」(´;ω;`)ブワッ
「そもそも計測台に載る前にバッテリー上がったらどうしよう」(´;ω;`)ブワッ
様々な憶測・不安が頭をよぎり、とにかく落ち着きません…
測定台にあげられるというよりは死刑囚が死刑台に向かう直前的な心境?
むしろ今から測定やめにして、「俺のバイクは140馬力あんだぜ!」とカタログスペックだけを語る老害となっていたほうが心の安定を保てるのではないか…
そうこうしているうちにブルターレちゃんは死刑d…ぢゃなくって計測台へ。
金属の無機質さが、またいい感じで死刑台ぽいですね ΦωΦ(もういいて
ここから先は、壊れても自己責任だぜ!
ローンもないから壊れたときの精神的ダメージは最低限だZE!
さようなら…ぼくのぶるたーれ…(´;ω;`)ブワッ
あ、予め書いておきますけど、2りんかんのスタッフさんに壊されることを心配しているんじゃないですよ?
お店のスタッフさんは自分なんかより余程バイクを知っているし、パワーチェックも相当な台数をこなしているし、自分が街乗りしているときよりも壊さないだろうという信頼は持っています。
不安なのは冥土・イン・イタリークオリティのほうね。(ぁ
13,000まできっちり回され続けるBRUTALEが走行分解ならぬ測定分解しないかどうか、スタッフさんが大怪我しないか、そこだけが不安…(最悪だ
日本人は信頼しているが、イタリア人をそこまで信頼はしていない(ドヤッ
計測室は扉が閉められる(防音と安全のためかな)のですが、計測台の横には小窓があり見学することは可能です。音もしっかり聞こえるので面白いですね。
そういえば、計測台とはいえ自分のバイクが走っているところって見るのははじめてだなぁ…というかブルターレ自体一緒に走ることがないし、どんな音するんだろう…と不安を忘れて一気に楽しみになってきましたよこれ!(単純な頭。
計測開始。
慣れた感じで安心して見ていられます。
高回転域のサウンドを聞く度に震えるねこれ!
西◯カナじゃなくても震えるレベルの高回転サウンド!!
鳥肌モノでした…
やっぱ馬力とかどうでもいいや…アグスタの官能性があれば、パワーなんか気にならないぜ!ともうなんかどうでもよくなってきた。
なので、延々と13000まで回したときの音を聞かせてください!!状態
いわゆるヘブン
どのくらい経ったか覚えていませんが、計測終了。
2回測定して誤差を埋めるようにするらしいです。
パワーモードを変えて測定もできるみたいなので、モードがあるバイクはやってみると面白いかも。今回はスポーツモードのみの6速計測になります、
さて、お待ちかね、気になる結果発表
127.8馬力/12,530rpm
(カタログ値:140馬力/13,100rpm)
8.1kg-m/10416rpm
(カタログ値:8.77kg-m/10,100rpm)
OK、すべてカタログ値以下だ (´;ω;`)ブワッ
まー6000km走った車体にしては…ってことでw
そもそもカタログ値同等になるとかは思っていないし、「そんなもんやろうなぁ」という感じです。慣らしが終わった直後の1500kmくらいのときに測定したらもっと出るかもしれませんね。
トルクに関してはこれはもう排気量で決まる値なので、ほぼ同じになるのは当然ですね。ちなみに結果は各種条件を盛り込んでの補正済みの数値とのことなので、これがほぼ実馬力でしょうとのこと。標準車のブルターレ800本国仕様が125馬力らしいので、RR化されてやっと標準車のカタログスペックになったってことかな…
最大出力よりも、そのパワーカーブを見ていきたいと思います。
ブルターレ800RRと標準車の明確な違いはエンジンの性格。
標準車は2stみたいなどっかんパワーで、6000を越えないと使い物にならないトルクのなさと、6000を超えてから一気にパワーがのってくる性格で街乗りは不向きとさえ思えました。RRではそれが消え、十分に街乗りができるようになっているのですが、そんな体感もグラフにすれば一発で分かります。
凄くフラットなトルク特性と、なだらかなパワーカーブを描いています。
どこかの回転数から一気にパワーが乗るのではなく、回せば回しただけパワーがついてくる”回転馬力型”のエンジン。そんなパワーカーブが綺麗に12000rpm付近まで続くので乗りやすい性格なのかなって印象を受けます。ただ標準車同様に6600rpm付近でパワーカーブの傾斜が変化し、以後の12000rpm付近まで、1000rpmごとに14馬力ずつ出力があがっていますね。
とにかく癖がない。
標準車のパワーカーブを見ていないのですが、おそらく標準車はこの6000rpmを境に一気に出力が乗り始めるはずです。最終的には似た特性になると思うのですがツインインジェクターで低回転の燃料制御を緻密化できていることでこのような特性になっているのかもしれません。パワーカーブがマイルドであれば乗りやすいといえますが、逆に標準車にあったどっかん的な加速を求める人には「ちょっとおとなしすぎるかな?」と感じさせてしまうかもしれませんね。
もし本国仕様と日本国内仕様のパワーカーブが同じだと仮定して…
日本仕様の9000rpmのリミッター付近の馬力はおよそ100馬力。
どこかで日本仕様は100馬力だとか103馬力という話を読んだことがあるので、グラフ的にも一致しますね。
燃調セッティングは多少変化があるかもしれない(排ガス規制があるので)ですが、パワー的には本国仕様も日本国内仕様も9000rpm付近ではそんなに変わらないのかもしれません。
本国仕様はそこから最後の1伸びで30馬力近くを回転で稼ぎます。
気になるMT-09と比べたらどうか?
※メーカ公式より
ブルターレの日本仕様と同じ9000rpmでリミッターがかかりますが、そこで110馬力。
ブルターレの9000rpmよりも高出力です。13000まで回せば出力が余裕で上回りますが、とすれば狭い峠道ではMT-09のほうが低回転で高出力なので速そうって思うのですが、ブルターレも+1000rpmを回せば114馬力になります。なので実際回せない場所でもそこまで差はないのかもって気がしますね。もちろん低・中速域を測っていないので、そこで負けるかもしれませんがw
特徴的なのはリミッターの掛け方ですね。
国産車って急激なパワーダウンはさせず、リミッター付近でも丁寧に制御してライダーへのショックを感じづらくすることが多いのですが、さすがはイタ車容赦情けの無い燃料カットぶりww
店員さんも13000丁度でカットしているのが面白いと言っていましたが、急激にリミッターが掛かるのでそこまで回さずちょい手前の12000rpmでシフトチェンジしたほうが安全な気がします。
パワー自体、11000rpmを超えたらほとんど上がらず、12000以降は頭打ちなのでサーキットなどを攻めるとかでなければ、公道でレブリミットまで回すメリットはないと言えます。
まーそんな回転域まで回せる場所がそもそもそんなにないのだけど!
次は空燃比(A/F)です。
測定域は6速でスロットル開度100%のデータになります。
空燃比はある一箇所だけ測るより、”ある回転数でこれだけスロットルを開けたら、このくらいの数値になる”という結果の方が重要で、それを見て適切に燃料調整することでパワーを出したり、燃費をよくしたりする。という指標にできるものです。
もちろん、6速全開だけを見てわかることもあります。
空燃比…エンジンは内部で爆発が起きているわけですが、ガスコンロ、ガスバーナーみたいなもので考えればイメージがつきやすいと思いますが、よい燃焼とは適切な空気の量と適切な燃料(ガス・ガソリン)の量が必要になります。
燃料が多すぎれば燃え切らず、少なすぎれば今度は不完全燃焼になり自動車エンジンの場合は破損という重大なリスクに繋がります。
理科的話ですが、理論上自動車ガソリンエンジンが完全燃焼できる空燃比いわゆるストイキオメトリーと呼ばれるこの値は14.7:1と言われています。
このグラフの縦軸方向14.5の少し上くらいですね。
14.7より上、空気>ガソリンになる状態を”リーン”と呼びます。
リーンの状態では空気に対して噴射するガソリンの量が少なく、当然、ガソリンをそれだけ節約できるので燃費もよくなり、経済的です。このリーンの中でも14〜17のことを”経済空燃比”と呼びます。
リーンの状態では、燃料噴射量が少ないので当然有害物質の排出量も抑えられます。某なんとかワーゲンじゃないですが、排ガス検査は車検や輸入車などはナンバー取得際に【ガス検】と呼ばれる検査があるので、この測定されるときに排ガス内の有害物質を減らしたいなら空燃比はリーン状態にする必要があり、計測されるギア数・回転数・スロットル開度において公道を走れるバイクはほぼ空燃比14〜17の間に設定されているはずです。
ただし、経済性や燃費ばかりに目を向けて燃料を減らしすぎると、エンジン自体には大きな負荷が掛かります。ガソリンはエンジン内部の冷却を担うため、ガソリンが過剰であれば燃えなかった燃料が冷却効果を発揮し、致命的な事態を避けてくれるのですが、逆に燃料が少ない場合は、ガソリンによる冷却効果を期待できず、熱でエンジン部品が融解したり、機械的に致命傷となるトラブルが発生する可能性が出てきます。
このトラブル回避のために、輸入車など大排気量ながら燃費とパワーを求めるような車の場合、エンジン自体に高価で熱に強い部品を使ったりしますが、当然コストの関係で大衆車には採用しません。
高価な部品を使用しない代わりに、燃料制御を行うコンピュータ側で対策をします。
これが、燃料調整(燃調)と呼ばれる話になります。
「燃料が少なすぎれば壊れるなら、どんな時でも多めに吹いてやればいいじゃないか」という考え方で、一般的に市販車では高負荷時(アクセルを多く踏んでいるような状態)では空気<燃料となる”リッチ”と呼ばれる空燃比14以下に設定しています。
空燃比はエンジンの回転数(負荷)により最適な値が変わりますが、今回は6速全開で測定しているので、高回転高負荷のシチュエーションだけで考えますが、高負荷になるほど燃料が濃い状態にすることがエンジン破損のリスクを避ける最善な空燃比といえるでしょう。特に市販車の場合は故障などクレームがあるので、パワーと燃費のバランスを取りつつ、マージンは大きめにとっていることが多いです。
そのマージンを取っ払ったり、マフラーなどを交換して燃料噴射量の最適値が変わりエンジンが不調になることを防ぐために、サブコンピュータで燃料噴射量を調整し、一番出力が稼げる”出力空燃比(12-13の間くらい)”の中でも特に効率よくかつスロットルレスポンスがあがると言われる12.5に近づけてあげたり、バランスを取るために全開時は最適値とされる13くらいでグラフが直線になるように仕上げたりします。
そんな空燃比の話を前提に先ほどのグラフに戻ります。
6速全開スポーツモードでのグラフです。
ブルターレ800RRは体感でも5000rpmを超えたところからパワー感を得られ、獰猛さを意識することになるのですが空燃比でみても丁度その5000rpmから出力空燃比の領域に入り始めている。
体感で6000-7000を超えた辺りから振り落とされそうな加速をするという感覚もグラフで見るとよくわかり一番出力を得られる空燃比12.5付近が7000-12000付近まで続く。
この12.5付近に空燃比があるとスロットルレスポンスもよく感じるはずで、ともすれば7000rpm以上の回転数を使っていればとにかく「楽しい」バイクでしょうね。
高回転域までとにかくパワー重視の空燃比になっているのでまさにブルターレの名が意味するとおりのセッティングであるといえるではないか?パワーカーブ自体は穏やかに見えるんですが、空燃比的に実際のパワー感がグラフ以上に出ているように思えるかと。
空燃比13あたりを直線でいくようなマップにできればきっと吹け上がりもスムーズで、リミッターまできっちり回る特性であり、しかもそこそこ燃費はよくなるはず。
ブルターレは燃料濃い目にしつつも最後までしっかり出力空燃比の範囲から外れないようなセッティングで過敏にマシンが反応する特性を5000rpmから10000rpm以上の超高回転ゾーンまで演出するようなセッティングになっているとグラフからは言えます。
今回のA/Fは6速ですが、他のギアでも同じような感覚を得られているということは空燃比的には多分似た感じになっており、きっと空燃比12-13の間を5000rpm以降さまようことになっている気がします。
そう考えればとにかく燃費が悪いことにも理由はつきますねw
MT-09の純正状態での空燃比を何かでみましたが、ごく低回転で12、4000-6000付近で14近い空燃比になり高回転域では13、リミッター付近で12くらいまで落とすようです。(6速全開)。国産車らしいというか、実にうまくできた”マージンを取りつつもしっかりパワー感を演出し、かつ環境性能も悪く無い”とまさに乗っていて感じられることがグラフに出ている気がしました。
馬力測定もそうですが、この空燃比の結果が面白かったですね。
感覚として得ていたものがグラフになり、数字で出てくると「なるほど」と裏付けにもなりますし、セッティングでより自分ごのみに仕上げる際の指標になります。
人間もそうですが、”よい”、”わるい”は感覚ではなく、ちゃんと計測してもらい数字に出してもらう。人間も学校で健康診断や体力測定をやらされた覚えがありますが、健康診断が車検などの定期検診だとすれば、パワーチェックは体力測定といえます。
今の自分の体力を知り、以後のメンテナンスに役立てることも重要だと思いました。
とりあえずノーマルのMT-09には勝っているので首を吊らずに済む (´;ω;`)ブワッ
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