サウナとドイツ
サウナに行くために相応しいクルマを探そう、そう思い始めたときにまず浮かんだのはサウナの国フィンランドのお隣にあるスゥエーデンが生んだサウナに行くために死なないクルマであるボルボ。
S60 T5は運転席に座った瞬間、目の前にサウナのヴィジョンが投影された。まじで車内にヴィヒタあったら瞬間にトリップしただろうなぁ(光悦)。
とにもかくにも素晴らしいクルマだった。
独自のサウナ文化を形成した日本では、そもそも銭湯がメジャーだ。そんなお風呂大国日本 で軽自動車規格が生まれた。銭湯を愛する日本人がその狭い国土と道路事情の中で無理なく家族みんなで銭湯にたどり着けることを目標に軽自動車は生み出された、え・・・違うんか?
自動車はその生まれた国の風呂とサウナ文化を映し出す鏡。
彼ら、彼女らが自国で如何に快適にそのサウナや銭湯へたどり着けるのか?
その国が生んだ自動車を見れば、その国のサウナ模様が見えるはず!
サウナの発祥はフィンランドだけど、各国に広まるにつれて姿かたちを変えた。
日本のサウナ室にTVがあるというのは本場からすればありえないことらしいけど、そういう独自の変化を遂げて浸透し、愛されていく。
日本のサウナでも人気となっているアウフグース、その発祥はドイツ。
ドイツもサウナ文化があり、サウナマイスターやアウフグースマイスターを生み出すほどにファンが多い。
そして全裸混サウナを行うらしい。すげー国だよドイツ!!
ドイツ|λ....
そのドイツで生まれたクルマはきっとサウナに行きたくなるはず!
実のところドイツ車は質実剛健でつまらないというイメージで毛嫌いしていた。
ドイツ車に乗る奴とは性格的に合わないと信じていた。
サウナを覚えてからは「もしかするとドイツ車に乗っている人はアウフグースが好きなサウナーが多いのでは?」と思うようになり、不思議とドイツ車に対する目線も柔らかいものになった。
こんなところでもサウナ効果が!!
そんなドイツ車は果たして、本当にサウナに行きたくなるようなクルマなのか?
早速メルセデスのお店へ行ってきた。
bottom layer of the hierarchy
サウナの中では皆平等だけれども、メルセデス・ベンツには明確なヒエラルキーが存在するらしい。
Cクラス以上はメルセデスとは呼べないと聞いたことがある。
じゃあなんなんだAクラスは・・・フォルクスワーゲンか?
メルセデスに興味がなかった自分からすればAクラスとCクラスの違いなんかわからないし、それはサウナに興味がないやつが「天然水」と「水道水」の水風呂の違いがわからない、どちらも同じ冷たいだけの場所じゃん?というのと同じこと。
ファンからすればありえないことでも、興味がない者からすればどうでもいい。
そんなわけで今回はエントリーモデルでもあるAクラスを見ることにした。
何もしらない自分がいきなりGLEを見ても意味がない。
もちろん最高峰からブランドを知るというのもありかもしれない。
自分は本格的にサウナに入ろうと思った2回目のサウナが絶対王者「しきじ」だったため、まさにメルセデスでいえばSクラスやGLEから買い始めたようなもの。それはそれで「いいじゃん!」とハマるきっかけにはなったけど、逆を言えばサウナに対する閾値がかなりあがり、たぶん並みのサウナじゃ満足できないとも思う。もし、どこかにある動線がぽんこつな浴場のサウナから経験して、10サウナ目くらいで「しきじ」を経験したら感動して号泣したかもしれない。
なのでまず初めて体感する自動車のブランドはエントリーモデルから知ろう。
デザインは一目でメルセデスだとわかる巨大なグリルとバッジ。
Aクラスでもメルセデス様が来たぞと前方車に道を開けさせることができる。
浴室で巨大なアレを持つ異国の大男がフルオープンでサウナまで向かうようなイメージが持てる、そりゃ日本人は誰だって道を譲りたくなる。
BMWのキドニーグリルが大型化していくと話題になっているが、それはきっとサウナに向かう道中も「俺のあそこはこんなにこんななんだぞ」と周囲にアピールし、サウナに着く前から何かの勝負が始まっているということを意味しているのかもしれない。
いや、サウナは何かの勝負をする場所ではないけれど。
Cセグメントハッチバックは日本でよく売れるクラスだ。特に輸入車は国産車よりもサイズは大きめであることが多いのでこのくらいのクラスが実際この国の道路状況ではぎりぎり扱いやすいサイズと言えるし、価格もまぁまぁ手ごろだ。
Aクラスのターゲットは今までメルセデスに興味がなかった人たちだ。
特に若年層への認知をあげたいのだろう、CMも割とこだわっている。
メルセデスもサウナも今までのイメージはおっさんが愉しむ孤独な箱だ。
サウナはドラマの影響などで一般に認知されはじめたけれど、それでも実際サウナにいる層は中年が多いし、サウナハットを被った玄人のようなたたずまいの人もいて今でこそなんとも思わなくはなったけど最初の頃は「なんかサウナ怖い」と思ったこともある。
メルセデスもそのブランドターゲット外の人から見ればなにこれ怖いで親近感はまったくわかない。
サウナに対する理解がない人が浴室にサウナがあっても入らないように、駐車場にメルセデスが停まっていたら10ブロックくらいは開けて隣に停めたくなる。
ただしそれはメルセデスのブランド的には正解だと思う。高級で誰でも簡単に乗れないからこそ、メルセデスを所有すること自体がステータスになり自尊心を満たせる。そのために国産車よりもずいぶんと高いお金を払うことだってある。
けれどそんな老人たちは、若者よりも先に寿命で死ぬ(ぉ
日本では少子高齢化が進む一方で、いまの若年層は自動車をむかしほど必要としていない。そんな中で高級ブランドメルセデスでは未来が見えている。生き残るには今までメルセデスに興味がなかった層や、メルセデスを認知していながらも購入できなかった層に手にしてもらうことだ。
エンターテイメント・インテリア
メルセデスのインテリアは先進的で、まさかセンターディスプレイとメーター周りまですべてディスプレイとして繋いでしまうとは思っていなかった。これが恐らく今後の流れとして定着するのだろう。
最初は抵抗感があったのは事実だけど、コックピットに収まるとすぐに居心地の良さを感じる。
なるほど、アウフグースだ。
最初は熱波を送るとか殺す気か!と思ったけれど今やそこに心地よさを覚える。エンターテイメント性に富み、パフォーマンスさえも許容するあのサウナ室が心地よいようにメルセデスの車内もすぐに心地よさを感じてしまった。
古いと新しいの混合比が絶妙なのですぐに慣れる。
操作系もいまの若者ならすぐに使いこなせる。手に届く位置にすべてのスイッチ類があるし、なんならMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)による対話型AIに操作を指示すればエアコン操作も勝手にやってくれるから凄い。
MBUXは「メルセデス」だけでも反応するので、「今日の天気は?」といえばちゃんと教えてくれる。通信はソフトバンクの回線を使っており通信料は10年間は無料とのことだったの実質無料みたいなもんだね。
エンターテイメント性に富みながら実用性も凄いのがメルセデスの特徴かもしれない。
さすがは芸術的ながらちゃんと効果もあるアウフグースを生んだドイツの名門。
64色アンビエントライトを用意しているのもエンターテイナーとしての素質が高い。
サウナに向かう道中はこれから受けるアウフグースを連想させる赤い配色に、帰りはクールダウンで青に、そしてそのまま助手席の彼女といちゃらぶしたいならピンクに・・・これだけでととのっちゃう!!
ディーゼルエンジンがキモチイイ
試乗したモデルはディーゼルのA200dだった。
2000ccのディーゼルターボエンジンはプジョー伝統のAH01と比べれば150馬力、トルク320Nmといずれの数値もおとなしい。
劇的な感動はないのか?と思えば、そこはアウフグースの国ドイツ!!
アクセルをちょっと踏んだ瞬間にぐいっと車体が推し出される!!
アクセルレスポンスがディーゼルとは思えないほどに過敏!!
車体が軽いのもあるかもしれないけど、8速DCTのダイレクト感もあるのかも??
日本の渋滞する道路状況ではDCTの悪癖が顔を出して、ぎくしゃく感は出るけれど走り出してしまえばかなりスポーティでゆったり上質というよりは俊敏でこれはこれで楽しい。
エンジン自体もディーゼルと言われなければわからない。高回転まで回せばそれなりにらしさは出てくるが、低速トルクが十分だし、そもそもあまり飛ばそうとは思えない。150馬力は高速域で若干のパワー不足を露見させたけど法定速度で走る分には困らない。
8速DCTは100km/hでの回転数が1500回転以下だというから、カタログ燃費は実際大したことはなかったけれど、実際には高速燃費も20km/Lを超えてくると思う。
タンク容量的に満タンで東京から九州は厳しいかもしれないけれど、高燃費であれば給油回数が増えるだけでそこまでお財布に影響はない。
メルセデスのディーゼル、かなりいいね!!
CLAでサウナにイキタイ
試乗を終えた段階で自分はメルセデスに心を奪われていた(ぉ
鶯谷のサウナセンターではじめてアウフグースを浴びたときと同じように、最初は「ドイツ車でしょ?」と舐めていたけれど、Aクラスを乗り、次にCLAに乗ったときに完全に心がメルセデスに傾いた。
AクラスもCLAもサンルーフは装着できるけれどCLAのほうが面積が広い。
スピードを出すだけがドイツ車じゃない、熱波を浴びた身体をクーリングする。
その重要性を知っているからこそメルセデスはこのルーフを設定している。
たったの16万円で装着できるオプションを付けないのは人生の大半を損することと同じだと自分は思うよ?
CLAならイエローがいいなぁと思いつつ。
このクルマでまずは名古屋は栄のSauna Labに行ってみたい。
たったの4時間、平日でも半休を使っていけるレベの距離だし、このくらいの距離ならCLAの43Lというあまりに少ない燃料タンクでも往復は可能だろうし。
シートがどうだろう?というのは正直わからなかった。15分程度の試乗では痛みはでなかったけれど、ロングランをしたときにドイツ車のシートはそれに耐えうるものなのかはわからない。
安くはない、が?
まずはエントリーモデルであるAクラスで自分の好みに沿ってディーゼルを買おうとすると車体価格は400万円と輸入車ディーゼルであることを考えると割とお買い得だ。
同クラスの308GTと比較しても金額差は少ない。
PEUGEOT 308 configurator | Peugeot JP
ただドイツ車の罠で、基本的に車体価格だけのモデルは装備が貧弱だ。ADASなど先進的な装備も含めてほとんどの機能が省かれておりオプションで装着する必要がある。
その点ではプジョーは車体価格でほぼほぼ必要なものは含まれているし、そもそも後付けできるメーカーOPはパノラミックルーフくらいしかない。
で、最終的に自分が理想とするA200dを作ると・・・。
総額は500万円を超えた。
プジョーと比べても100万円以上は高い。
ガソリンモデルでも金額差は30万円くらいなのでこれならディーゼルを推したい。
CLAだと限りなく600万円w
なかなかのものだね。。。
けれど自分は最初にコックピットに収まった時点から頭の中にメルセデスいいなぁという思いが充満した。
熱波にすっかりやられてしまったのだ。
そしてこれは「メルセデス地獄」の始まりに過ぎないと知る。
「マツダ地獄」という言葉があったが、メルセデスも同じだと思う。
エントリーモデルのAクラスだから・・・と舐めてかかると一気に沼というか地獄に引き釣りこまれる。
漫画「サ道」でも書かれているように、水風呂は最初は恐怖があったが慣れていくと冷たさが気持ちよさになることを知る。すると「冷たい=辛い」を「冷たい=気持ちよい」に脳内変換が起こり慣れが更に進むとより快感を求めて冷たい水風呂を求める。人間というのはそういうものだ。
アイスサウナのような信じられない場所に人は到達する。
もし最初にAクラスでメルセデスを知ってしまったら、もうほかのブランドには戻れない。次はCクラス、Sクラスとどんどん欲が増す。もちろんおいそれと買える金額ではないけれどメルセデスでサウナに行きたい!という欲望のために仕事も頑張るだろうから結果、すべてが上手く行く。
すごいぞメルセデス!
アウフグースのように人の感覚を覚醒させる。
メルセデスに乗るために生き方まで変わってしまうのだから!!
500万円はたかい、けれど頑張れば手が届く。そこから徐々にメルセデスに慣らされていく・・・なんという怖い話かと思うけれど、正直いえば長い時間メルセデスに触れなくてよかったと思う。
もしプジョーを知らずに最初にAクラスに乗っていたら?
そのときにサウナを知っていたら?
いま駐車場に停まっているクルマはAクラスかCLAだったかもしれないのだ。
サウナの国、ドイツの名門は素晴らしい1台を日本に送ってくれた。
さぁ、メルセデスでサウナライフをエンジョイしよう。