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ぴよこ☆くらふと☆わ〜くす。

FIAT500Xとハヤブサ、時々家族を愛でるおっさんのごった煮ブログ。

SO

もう春だというのに冷たい雨が降った。

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正午過ぎでも最高気温は一桁。500Xの温度計はあまりあてにならない。外に設置されている外気温計と比べると2度は高い。

そんな日に走行距離はついに20000kmに達した。

江東区豊洲でそのときは訪れた。

納車から11ヶ月。

うち1ヶ月は事故修理で乗れていないので都合10ヶ月でその距離に達している。

我が家の車としては少ない走行距離だが、一般的には十分多いだろう。国内だけで言えば日本で一番年間走行距離が多い500Xかもしれない。

一般的に1.4Lマルチエアはタイミングベルトの交換距離が5万kmだというから、このペースだと一回目の車検では交換が必要になる。タイヤも含め消耗品もそれなりに考えなければ行けない頃だ。掛る維持費を考えると憂鬱しかないが、それも覚悟で臨んだイタ車の世界なので気にしないようにする。

株主総会を控えて憂鬱な月曜日の午前中、唐突に偉い人に個室に呼び出された。

 

最近、社長や監査役に個室に呼ばれることが多く、大体は胃痛が勃発するような問題を告げられその対応を任される。

 

それは多くの場合、月曜日に訪れるためぼくの中ではブラックマンデーと名付けられている。

ブラックマンデーの衝撃

ブラックマンデーの衝撃

 

金融機関ではないが、金曜日に話し合われたことが、土日を経て熱を帯び、月曜日に危機管理の耳に入るというのが定番だ。とはいえ、月曜日の午前中に社長室に呼び出されて他言無用な状況報告を対応を依頼されるのは辛い。

特命係長にあこがれていたが、まさにあんな感じだ。

特命係長 只野仁 最後の劇場版

特命係長 只野仁 最後の劇場版

 

高橋克典のように全然もってイケメンでも肉体美があるわけでもないが、やっていることはそんな感じ。普段も対応中もまるで冴えないところが違いだ。

そんなブラックマンデーだったので、多分顔が浮かなかったのだろう。

対応にあたった偉い人は主に社長の代理として面倒なことを告げる業務を担当しているというのが、仲のいい同僚の評価で知っている。つまるところは面倒な話を誰が持ってくるかの違いでしかないと言う話。

 

「そんな浮かない顔をしなくてもいいよ」

 

帰国子女の彼は無駄に広い会議室の隅っこにぼくを座らせるとにこやかにそう告げた。

 

「大体浮かない話っすよね?」

 

生意気にもタメ口なのがぼくスタイルだ。社長にも無駄にタメ口だが、それもキャラなので誰も最早何も言わない。まぁ鉄砲玉みたいな奴なので所詮は使い捨てなのでどうでもいい。

 

「今日はそんなに悪い話じゃないよ」

 

彼は書類を取り出した。ああ、この時点で嫌な話だ。大概この手の書類は議事録か応接録だ。胃に激痛が走る内容が、今日は多少はマイルドってだけだろう。

 

「おいおい、そこまで人間不信にならないでよ。とりあえず・・・」

 

書類をテーブルに置いた。

 

「SO(ストックオプション)ですか」

 

さすがに財務会計に詳しくない自分でも「新株予約権割当契約書」の言葉の意味くらいはわかる。

新版 2時間でわかる 図解 ストックオプション入門 (2時間でわかる図解シリーズ)

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確か昨年の株主総会(ぼくも総務として当然会場には居た)で臨時で決議された、社員にSOを配分するみたいな話、そのことだろう。

 

「これで君の好きなクルマも買えるかも知れないね」

彼はぼくのFaceBookをみているので多分、散々自動車の批評を書いていることも知っている。つまりぼくの好きなクルマも知っていての発言だ。笑わせる。 

www.webcg.net

好きなクルマってこれだぞ?

 

「せいぜい数株程度もらったくらいじゃ、軽自動車だって買えないです。250ccのタイ生産のバイクが関の山でしょう」

 

今の会社は上場をちらつかせて人を外部から取っているベンチャーでもあるから、その福利厚生と餌のひとつとしてSOがある。ただぼくを引き抜いた前職の同僚でもある女性に言わせればSOの割当はせいぜい数株で、そこに旨味はなく、持株会で如何に株を手にしているかが鍵だって話だった。一株1000万円くらいで売れる世界ならランボルギーニだって買えるだろうが、そんな世界は当然存在しないので、目の前の彼の言葉は大層に大げさなものにしか聞こえず、失笑さえしてしまう。

 

「割当数をみてごらん」 

 

 

 

( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …!?

 

 

桁がおかしい。

 

数株どころか、なんだこりゃ?って数になっている。

思わず桁間違いじゃないか?と確認したが、「それが今の君への期待値だよ」と彼は言う。さすがに数多くの会社を渡り歩いたが、前職の副業先ですらSOをこれほど貰ったことはない。うちの規模感と発行株数からすれば、高々入社半年程度の木っ端社員に与える数としては異様だ。

 

なぜに唐突にこれだけのSOが割り当てられたのか、その理由は正直不明だ。

 

目の前の彼はそれを説明する義務はなく、むしろ「部長から何も聞いてないの?」と言うほどだ。うちの会社はその辺の連絡が非常に適当だ。知らないところで事が運んで、たしかに納得の行くものを与えられるが、その理由の説明を面倒で省く傾向が強い。

 

その日はそこで解散だ。

 

「納得がいけば書類にサインしてね」

 

しない理由はどこにもない。

 

翌日、青山のアホみたいに安い定食屋で、ぼくを引き抜いた元同僚にして現同僚とその話をした。

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障害対応で午前中は高円寺の方に居て、渋谷に戻ってきたときに彼女と落ち合って「デートしようぜ!」と職務怠慢風に適当に歩いていたら見つけた店だ。

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安い。このあたりですき家とかいわゆる格安チェーン店を除いてこの価格帯で定食が食べられるところは見当たらない。550円でからあげ定食だ。ちなみに斜め向かいの店はコーラだけで500円もする。コーラの価格で定食が食べられるし、むしろ向かいの店で食後にコーラを飲んでも青山生活における一日の昼食代平均である1000円程度で済む…なんっうコスパの良さ!

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彼女にしても今回のSOの話は驚きだったらしい。

 

ただ、べスティングが最短2年50%、3年目で100%だ。

 

それを踏まえると彼女は持株会のほうが勝手はいいだろうと言う。

SOに関しては手にしようと思って手にできるものではないし、そういう意味では一般的には持株会で入手する方が手軽だ。(当然、持株会にだって条件はあるのでSOより気軽ってわけにはいかないだろうが)

 

なぜSOを与えるのか?これは他のサイトを見れば吐くほど書いてあるので詳細をここで書くまでも無いが、単純に「逃さない」という意味だろう。言い換えればそれは呪いと同じだ。桁外れな数も、べスティングがある以上はただの概念でしかない。紙に書かれた数日としての意味しか持たないわけだ。それが現実に影響を及ぼすのは最短で来年の冬だし、退職すれば行使条件そのものをロストするので同じく数字としての意味しかなさなくなる。

 

また、2年経過したところで行使金額以下の価値しかなければそれを行使する意味はまったくない。確かに億万長者になれる可能性もあるが、逆を言えばほんとただの概念で終わることもある。株とはそういうものだが、あえて今回この馬鹿げた数をぼくに与えたというのはお前のミスで自分の将来が決まるから覚悟しておけっていう無言の重圧だ。

 

当然、企業としては売上を立てる部門があってこそで、そこがコケれば株価に影響は当然でる。また、ぼくが専任でやる危機管理も同じく企業の評判が下がれば株価に影響するというところで内部統制や外部からの攻撃に耐える使命がある。責任は地味に重い。

 

そのポジションにいきなろ誰かが引っ張って入社させた社内の雑用係しかできないと思われた男が就いて、思いの外に成果を上げたものだから会社としては逃せなくなったと見るべきか。同時に、あらゆる秘密を知る立場になった以上、迂闊に辞められては困るからSOでつなぎ留めておくことで安心したいということか。

 

入社から半年で実力は見せつけたし成果も出した、エンジニアとしては三流だが、あるスキルに関して言えばずば抜けてデキている自信はあったし、教育係についていた元国税調査官の男性からも「敵じゃなくてよかった、お前はアウトロー過ぎて、喧嘩したら勝てる気がしない。お前は不良じゃない、骨の髄まで生まれつきの悪だ」と褒められてるのかディスられているのかよくわらかない評価も受けた。

 

その全てを統合した結果が今回のSOだったのだろう。

 

ただ、本音を言えばお金とかはどうでもいい。

 

ランボルギーニが欲しいと言っているが、それは「滝川クリステルと付き合いたい」と言っているのと同じで、ただの適当だ。

恋する理由 私の好きなパリジェンヌの生き方

恋する理由 私の好きなパリジェンヌの生き方

 

1億あったからといって滝クリと付き合えるか、付き合いたいか?と言われても別に…というか現実的に付き合えないように、1億円あったとしてランボルギーニを買うかと言われたら買わない。アバルト595を買うくらいだろう。

明日死んでも別にいい、というよりどうせ明日死ぬくらいにしか思っていないのでお金がいくらあったところでそれが自分にとってはまったくもって幸福なことじゃない。ぼくには大金よりも”好きな女に自分の存在を認めてもらうこと”のほうが遥かに重要だ。

 

今のぼくは2人の女性に認められたくて働いている。

ひとりはぼくを引き抜いた眼の前で鯖の味噌煮を食べている年上の同僚で、もうひとりは先日もお泊まり会をした同期の子だ。その2人のいずれにも認めてもらう為に必要なことが資産を得ることなら多分億万長者になるための最短の道を選ぶだろう。でもそうじゃない、ふたりとも仕事ぶりを評価する姿勢でいる。

 

少なくとも同僚の彼女はぼくにとってのオルガ・イツカだ。

最近のあの不穏な鉄血のオルフェンズをみて彼女をオルガに喩えるのは微妙だが、そう喩えたとしてぼくは三日月ポジションで有りたいと思っている。彼女の居場所が自分の居場所だ。それは前職から思っていたことで、彼女が退職してモチベーションは限りなくゼロになった。

 

その彼女がぼくの退職を知り「力を貸せ」と代々木の喫茶店で声を掛けてくれたとき、これはチャンスだと思った。そして彼女がぼくを信頼してくれていると心底嬉しかった。年収はアホみたいに下がるし、SOの話すら当時はなかったのだからそんな条件で転職を飲む奴はいない。三流とはいえ6年近くやってきて同じ情シスに行くのであれば年収が100万円単位で上がる会社は無数にあったし、その条件だって転職時には提示されていたが、それを蹴ってでも彼女の下で身を粉にして働き認めてもらうことのほうが重要だった。

 

正直バカだとは思うが、転職後に別に上司に認めてもらいたいわけでもなんでもなく、ただ彼女に認めてもらいたくて全身全霊を尽くしていたら、なぜか役員に評価される結果になっただけだ。そこの評価はいらない。

 

だから別にこれからも株価を上げるために頑張るわけではない。

 

今の会社でやんなきゃいけないのは彼女たちに最大限の評価をもらうこと…それが終わればほぼほぼ人生の目標は完遂だ。その頃には新しい目標くらいできているかもしれないが、そんなことはわからないし興味もない。

 

ま、今回の一件で少しは同僚にも同期にも認めてもらえただろうし、それはそれでよかったかなぁ…にしても二年か…そんな未来に自分が到底生きているとも思えないんだけど、みんなよくそんな先まで考えてモチベーションを維持できるねって驚いてしまう。希望がある人生は羨ましい限り。そういう人になりたかったと今だからこそ強く思う。

ベンチャー企業を上場成功に導く 資本政策立案マニュアル[第2版]

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